THRILL SHOCK SUSPENSE #01
2022年11月 変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介 愛及屋烏
クロス探偵物語1 ~前編~/~後編~
Continuation from last page. 01-1 https://no-value.jp/game/33946/
各話あらすじ+一言感想
第1話「名探偵登場」
名探偵と名高い冴木達彦に弟子入りしようと冴木探偵事務所を訪れた剣。
しかし、運悪く所長の冴木が留守中で面会は出来なかった。
応対した所員の西山友子と軽く言い合いをしているところに、夜中部屋に侵入してきた何者かに襲われそうになったという女子大生がやってくる。
剣は友子に自分の実力を示して、冴木への弟子入りを後押して貰う口実ができたと考え、友子の忠告も聞かず一人で事件を引き受けてしまう。
※剣の冴木へのイメージ(勝手な)が神宮寺三郎そのもので、実態との乖離が笑い所なのだが、制作のワークジャムはこの作品の評価で後に神宮寺シリーズの開発を引き継いだ。
第2話「疑惑」
とあるマンションの密室で一人暮らしの男性の首吊り死体が発見された。室内には争った形跡が無く、盗まれたものが無かった状況から警察は自殺と断定した。
しかし、被害者の母親は「息子は絶対に自殺をする様な子じゃない。誰かに殺されたのだ」と強く主張し、藁をも掴む思いで冴木探偵事務所を訪れる。
「事件の真相を突き止めて欲しい」という依頼者の必死の願いに何かを感じた剣は調査を開始する。
※ジャッジアイズでキムタクは人妻系ヘルスに赴くが、剣はSMクラブに調査に行く。色々な意味で攻めてる作品だと思う。SM嬢や被疑者の友人からスルスルと情報を引き出す話術は巧みで剣がプレイヤーから口先の魔術師と呼ばれる所以が判る。
第3話「ゆがんだ名門校」
名門女子校・エリス女学館に勤める教師が短い期間に立て続けに癌に犯され死亡した。
当初は偶然病死のタイミングが重なっただけと思われたのだが、厳しすぎる校則の撤廃とそれが叶わぬ場合の次なる犠牲者を示唆する脅迫状が、校内掲示板に貼り出される事件が起こる。
その文面に校則違反の罰が原因で自殺した女生徒の呪いと噂する生徒達の動揺と、名門の名に傷が付くことを怖れた女学長が、冴木探偵事務所へ秘密裏に事件解決することを求めて依頼に訪れた。
しかし、その女学長と過去に一悶着あったらしい冴木は、逃げるように担当を剣に指名し依頼解決を一任する。現場が男子禁制の学校の為、中途採用の事務員として剣はエリス女学館に潜入し、調査を開始。
以前、ナンパから助けた、エリスの生徒の『広川千絵里』とその親友の『高梨まゆな』の助けを借りつつも、進める調査の過程で名門校に巣くう腐敗と閉鎖的な実体を知ることになるが、様々な制約を付けられている為に肝心の事件の調査がなかなか進展しない。そしてその間にも第2、第3の事件は発生し、掲示板に再び脅迫状が張り出される。
※まず、この時代で使われる凶器としては、異質かつ斬新。 死因が癌という時点で知識があれば想像自体は可能だが、普通の推理ADVで登場するか?というバイアスによって、適度な難易度になっている。 腕時計が光る、というヒントも秀逸。
第4話「依頼者」
剣が冴木探偵事務所に入りたての頃のある雨の夕方。
冴木が不在中に「恋人が宇宙人がどうか調べて欲しい」と依頼してきた男がいた。いぶかしむ友子を尻目に彼は静かに語り出す。
※サウンドノベル形式という変わり種。 移植されたPS版だとドラマCDになっているので楽。
第5話「紺碧の記憶」
友子から姉・美麗がCM撮影のロケをしていると聞きつけ、夏休み替わりの羽伸ばしを兼ねて美麗のロケ地・南伊豆の「ゆきが浜」にやってきた剣たち。
宿泊先であるまゆなの祖父で著名な推理作家・高梨呂秋の別荘で豪華な夕食をご馳走になった後、友子と共に軽い気持ちで見晴らしの良い断崖絶壁にあるという美麗の宿泊先のホテルに訪れる剣。
しかし、そこで宿泊中のCMスタッフのカメラマンとメイクの2名が無残な刺殺死体で発見される。剣はすぐさま警察に連絡しようとするが、携帯電話は圏外、固定電話は何者かによって電話線が切られていて外部との連絡手段が途絶えてしまう。
助けを呼びに行こうにも外は人気の無い暗闇で、剣達が乗ってきた車も何時の間にかパンクさせられていた。
まさか犯人が外に?正体がまるで判らない以上無闇に外をうろつくのは危険が伴う。
已む無く剣は宿泊客や従業員たちと協力して建物内を回り慎重に調査を進めるが、それをあざ笑うかのように次々と犠牲者が増えていく。
※クローズドサークル内での連続殺人。ベタな事件ではあるが、内容は良質。 犯人は設置系のトラップも使っているので、緊張感がある。 なのに第7話の前哨戦的な話。 なんかルパン三世みたいなのが、二人(赤と緑)も出てくる。
第6話「満月の夜に」
満月の日はツイてない…そのジンクスを固く信じ絶望感に苛まれる男の代わりに、ビルの最上階にある忘れものを取りに行くことにした剣。
彼は制限時間以内にセキュリティだらけのハイテクビルの中を最上階までたどり着き、男の願いを叶える事が出来るのか。
※3Dテイストなビル探索シナリオ。タマを集めてはめ込むとショートカット可能なエレベーターがあるのだが、制限時間ギリギリになると剣が『自前のタマ』でゴリ押しする最低な裏技がある。
第7話「タランチュラ」
剣の住むアパートの隣人宛に届いた『辛子明太子』をタダで貰う事になった剣は、日頃世話になっているお礼に、と「辛子明太子が好物」という冴木にそれをプレゼントする。
その後、剣は所用を済ませる為に外出するが、戻った後の事務所には誰も居ない。そこに事務所の電話が鳴る。それは冴木が緊急入院したという連絡だった。病院に向かった剣は担当の医師から辛子明太子に砒素が混入されていたことを聞かされる。
まさか自分が狙われた?「プレゼントは受け取ったか?」とだけ書かれた置手紙が事務所のドアに挟まれていたことを剣の口から聞いた冴木の顔色が変わる。
冴木は、とある犯罪組織の存在を剣達に話し、「これ以上組織に関わってはいけない」と強く忠告する。一旦は承諾し帰宅した剣の元に、またも組織からの置手紙が届けられる。
そこには「鹿鳴館に招待するので興味と勇気があるなら来い。来なければ冴木達彦同様に“負け犬”として一生を生きることになる」と書かれていた。
剣は事件解決と父の死に繋がる真相を求めて、謎の組織の秘密に迫るべく指定された場所である山奥にヒッソリと建つ鹿鳴館に向かう。
途中、マークと名乗る謎の外国人青年と合流した剣が鹿鳴館に到着すると、そこには世話役のメイドである沢田以下、彼らの他に数人の招待客が居た。
そしてその中には、かつて父・信介の墓前で出会った美樹夏子の姿もあった。
※閉鎖環境という点では5話に近いが、それを更に強力にした様な最終話。味方はほぼなく、屋敷には致死性の罠が張り巡らされ、剣の行動で事件の種類が分岐する。なのに被害者は変わらない、というのがマジシャンズセレクト的な、この事件のミソ。だが、それが明かされるのは分岐を含めた完全クリア後だった。
to be next page. 01-3 https://no-value.jp/game/34235/