THRILL SHOCK SUSPENSE #01
2022年11月 変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介 愛及屋烏
クロス探偵物語1 ~前編~/~後編~
Continuation from last page. 01-2 https://no-value.jp/game/34004/
口先の魔術師・黒須剣
性格は明るくいたって陽気な現代の若者だが、人とは違う鋭敏な感覚と頭の回転の早さ、洞察力、そしてそれらを瞬時に組み合わせる抜群の推理力を持ち、探偵としての資質は素晴らしく高い。本人は面倒臭がりというが、行動力や忍耐力もある。
人を思いやる気持ちも強く、困っている人を見ると放っておけない。
普段は静かに燃えるタイプだが、自分の身近にいる人間に危害が及ぶと我を忘れた行動に移してしまうこともある。
面食いで美人には目が無い。その反面少々スケベ心丸出しなところがあり、それが原因で時折友子からキツイお仕置きを受けることがある。その姿は完全にCHの冴羽獠である。
バット、ヘルメット等、仕置きの凶器も多岐にわたる。
そんな女好きであるにもかかわらず、女心に関しては超のつく鈍感。
武術などの戦闘能力は無く、体格のわりに腕っ節はそれほど強い方ではないが、その分口が達者で、相手を言いくるめてしまうのが得意。初対面の相手でもスルスルと情報を引き出す。
劇中、運転シーンがある事から自動車の運転免許を保持していて、移動には時折原付バイクを使っている模様。辛いものが苦手。
尾行や張り込み等の一般的な探偵業のスキルはあるが、系統としては証拠を集めて推理を重ね、時に犯人をペテンに掛ける、金田一少年に近いタイプの探偵。
ゲームオーバーのないシステム
一般的な推理ADVのものを踏襲しながらも、丁寧に作りこまれたユーザーフレンドリーなシステムになっている。
基本は「話す」「調べる」などのコマンド選択と虫眼鏡型ポインタのクリックで調査を進めていく。推理をする場面はコマンド選択と文字入力(詳細は後述)の2つがある。
テキストのバックログ・メッセージスキップが未読・既読関係なくでき、推理をする場面でも見取り図や人物の簡易プロフィールをいつでも参照できる。また、音声はプロローグや犯人を指摘する場面などの要所のみで流れる。
重要な場面での推理(犯人の名前や犯行の手口など)はプレイヤーが直接文字で入力する必要がある。つまり漠然と捜査をしていたり、セーブ&ロードを繰り返して選択肢をすべて試すという方法では解決できない(何回かミスをすればヒントはもらえる)。
これはコマンド式の推理アドベンチャーで「総当たり」という解法が一般的になってしまったことに一石を投じたものであり、プレイヤーの頭できちんと推理をしなければ先に進めないようになっている。
文字入力の際は多少の答えの揺らぎは許容される(例えば「でんち」「かんでんち」「あるかりでんち」はいずれも正解となる)ので、推理と関係ない部分でもたつくことは少ない。
文字を入力しなければいけないシーンでは、最大入力可能な文字数が解答より多いという場合もあり、初見では文字数から答を推測できないようになっている。回答を間違えるごとに正しい文字数になるまで一文字ずつ入力文字数が減っていくのも、ヒントのバランスとして秀逸。
どんな選択肢を選ぼうがゲームオーバーになることは絶対にない。ただし、トリックを文字入力する場面で正解が分からなかったり、移動範囲の広い事件で先に進めるフラグが分からなくなったりして、ハマってしまう場合はある。
後述
まず、主人公「黒須剣」は高校を卒業したばかりで若くて行動力があり、決めるところは決めるがちょっぴり3枚目なところもあったりするお茶目な性格と、プレイヤーが親近感を覚えやすい人物。
脇を固めるキャラクターたちも「老練なベテランの探偵」「勝ち気な女性助手」「高名な推理作家の孫娘」等、これでもかと言う程分かりやすい面々で、すんなりとゲームの世界に入っていきやすい。
痒い所まで手が届くシステムと、ミステリーに明るい人間すら唸らせる要素を含んだ名作。
難易度も手頃でADVの入門編としてもお勧めできる。
ただし、未完成かつ消化不良なところがあるため、それを気にする人は避けた方がよい。
その完成度の高さから続編を熱望する声は多く、企画中止が発表された後も待ち続けているファンも少なくない。〇億円あったら、何に使う?という質問で続編に出資したいと答える人もいるかもしれない。
END.