THRILL SHOCK SUSPENSE #02
2022年12月 変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介 愛及屋烏
TRICK×LOGIC
Continuation from last page. 02-1 https://no-value.jp/game/34248/
僅かなメインキャラクター
10編のシナリオの全てで事件に巻き込まれて容疑者の一員となってしまう、若くて元気な女性カメラマンの「天野つかさ」、その各事件の全てに現場担当として居合わせる恰幅のいい刑事「丸ノ内慶次」が主要キャラクター。
冥界パートでは、主人公の芳川と閻魔大王のヤマの他に、この2人を脇役として加えた4人がレギュラーメンバーとなる。
なお、シーズン2の冥界パートでは、つかさに代わって私立探偵「九条薫」が登場する。
ただ、少しあるキャラボイスに俳優を使っているため、棒読みで気が抜ける。 特に、主人公である芳川を担当する平岡祐太が一番酷い上に、セリフ量が多いので目立つ。
ヤマ役・デーモン小暮閣下などは、流石の演技で評判も悪くないのだが。他には本仮屋ユイカ、國村隼、川原亜矢子が並ぶ。
小説的ゲームシステム
アカシャに書かれている内容は全て真実。
ただし犯人の証言に嘘が混じっている可能性はある。
動機の強弱は犯人を絞るうえで重要ではない。
事件の真相は、超能力や宇宙人など超常的な事象によるものではない。
冥界の住人も現世の事件に一切関与していない。
推理編は静止の背景画像+全面縦書きテキストのサウンドノベル形式。背景画像は淡い単色で描かれ、BGMも静かな雰囲気のクラシック曲で統一されている。それ以外の映像・音響演出は特に無し。非常にシンプルである。
解決編や芳川に纏わるストーリー部分は、アニメ調の人物立ち絵または一枚絵+メッセージウィンドウというポピュラーな形式を採っている。
推理編
これがゲーム本編。事件の内容について記された本「アカシャ」はいわゆる推理小説のような体裁をしていて、選択肢などといったインタラクティブな要素の無い、素の「文章」である。これを読み解いて犯人とトリックを特定する事が主人公の目的。
ナゾとヒラメキ
文章中の語句の一部は赤い太字で表示される。これが「キーワード」である。
プレイヤーにはキーワードを保管するスロットが5つ与えられている。
ここにキーワードをストックし「推理実行」コマンドを選択すると、特定の組み合わせで2つのキーワードが含まれていた場合、その二点間に存在する疑問・矛盾の内容が「ナゾ」として生成される。
ナゾは、それを解決しうる「キーワード」と更に組み合わせる事で「ヒラメキ」となる。このヒラメキは、後述する「調書」を作成する際に必要。
事件現場の描写では、「被害者は何やら不自然な姿勢で死んでいたが、手掛かりになりそうな物は特に無かった」との状況が示される。
文中から「何かを書き残そうとした」「右手人差し指がガラス面に…」という、キーワードを引いてきて組み合わせると「そこにはダイイングメッセージが書かれていたのかもしれない。何故今は何も無いのか?」といった内容のナゾが生まれる。
これだけでは、そこに指があったというだけの事実から、曖昧な可能性を指摘するに留まり、それ以上の何物でもない。
しかし、このナゾと「部屋の空調が壊れていた」という別のキーワードを組み合わせると…
何らかのメッセージが残っていない理由であり、事件発生直後と死体発見時ではガラス面の状態が変わっていた事の説明にもなる「ドアのガラスが曇っていた」というヒラメキが生まれる。
ガラスが曇っていたからどうだというのか?
あるいは、全く別の事実を示すヒラメキを出せるならそちらの方が正解なのかも知れない。それはプレイヤーの推理展開次第である。
調書を完成させるには、これ以外にも多くのヒラメキが必要となるだろう。
調書
推理編の文章は最後まで行っても何度でも読み戻し・読み直しが可能。
推理を完成させて犯人とトリックを特定する時は、コマンドメニューから調書を選択して解答欄を全て適切なヒラメキで埋め、解決編へ進まなければならない。
調書の解答欄が足りなくなったり余ったりはしない。
規定の枠に収まらなければ、それは推理が間違っている。
調書画面は、推理編を一度読んでキーワードを拾えるようになった直後から参照できる。
調書の設問から事件の要点を逆算する方向で推理するのもプレイヤーの自由である。
解決編
推理編で作成した調書を元に、冥界にいる芳川が、事件の全容を検証・解説するパート。
推理編配信から少し時間をおいて配信された。
解決編は自動で進む。推理の組み立てに必要な説明手順を1から踏まえ、要所で発生する疑問に対しては調書の内容から芳川が答えていく。
脇役たちが細かいポイントにツッコミを入れてくるので、その時は選択肢で解答する。
芳川は調書で示されたヒラメキのみを推理の根拠とする。
調書が間違っていた場合はそこで頓挫してしまう。あらゆる角度からの検証に耐え、すべての疑問を解明できれば事件は解決し、シナリオクリアとなる。
推理に失敗した場合は、芳川による簡単な反省を参考に、再度推理編のやり直しとなる。
数多く存在するヒラメキには当然ミスリードも含まれている。
解答欄さえ埋まっていれば、解決編を見る事はできるが、仲間からの質疑応答のシミュレーションも含めて、一度は推理を完成させてからこのパートへ進むのが望ましい。
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