THRILL SHOCK SUSPENSE #02
2022年12月 変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介 愛及屋烏
TRICK×LOGIC
Continuation from last page. 02-2 https://no-value.jp/game/34280/
各話あらすじ+一言感想・1
練習問題「指さす死体」
作者:チュンソフト
ゲームシステムを理解するためのチュートリアルシナリオ。
図書館の視聴覚室で、男が撲殺された。死体はライブラリー室へのドアのガラスのスリットを指差すような姿勢をしていたが、ガラスのスリットには何の痕跡も残されていなかった。
容疑者はライブラリー室で漫画雑誌を読んでいた黒木と、ライブラリー室の窓から列車の撮影をしていた白井の二人。果たしてどちらが犯人なのか?
事件ファイルNo.1「盗まれたフィギュア」
作者:我孫子武丸※①
あるマニアの蔵に保管されていた300万円相当のフィギュアが盗まれた。
蔵の扉にかかった南京錠は外国製で、合鍵を作るのは難しく、ピッキングなども効かない。
蔵の上部には採光用の開口部があるが、格子戸が嵌っていてフィギュアを通せない。
蔵に他人を入れる機会はマニア仲間5人が集まる定例会の時だけだが、会の途中でも外に出る者には持ち物検査をする徹底ぶり。
この厳戒態勢の中、フィギュアはどうやって盗み出されたのか?
〇時系列の把握と犯行条件による容疑者の絞り込みを踏まえつつ、南京錠の性質を活かしたトリックが秀逸。
※①1994年に発売されたサウンドノベルゲームソフト、『かまいたちの夜』のシナリオを担当し、ゲーム業界において高い名声を得る。
事件ファイルNo.2「明かりの消えた部屋で」
作者:竹本健治※②
つかさの所属する大学のサークル「肉食倶楽部」の3人が、韓国へ焼肉旅行を決行。
しかし、帰国後の彼らを待ち受けていたのはサークルメンバーの高橋亮子の部屋で死んでいた彼女の恋人の死体だった。
亮子の元恋人の証言によると、亮子の部屋の前で数日にわたって待ち伏せていた間、誰も入らなかったし電気も点かなかったと言うが、その最中のある日の深夜2時頃に隣の住人が大きな音を聞いている。
明かりの消えた部屋で、いったい何が起きていたのか?
〇心理的な密室トリックの解法を考えつつ、犯人がアリバイを確保する為に利用した現象を探る。
※②代表作『ウロボロスの偽書』『ウロボロスの基礎論』『ウロボロスの純正音律』は、著者自身、綾辻行人、小野不由美、島田荘司などの実在の人物が架空の推理小説の中に登場するポストモダン的なメタ小説。
事件ファイルNo.3「雪降る女子寮にて」
作者:麻耶雄嵩※③
雪がちらつく寒い朝、女子寮「鴻鵠荘」の住人の一人・忍が、刺殺されているのが発見された。彼女の手元にあったキッチンシートが不自然に四角く切り取られており、そのシートは焼却されていたことが判明した。
さらに、同じ女子寮に住んでおり、サークルの遠征で北海道に行っていた亜紀も、乗っていたバスが土砂崩れに遭ったというニュースが入る。
亜紀以外の容疑者全員にアリバイがない一方で動機はつかさを除く全員にあり、切り取られたシートの件も含めて謎が深まる。
〇犯人の仕掛けが上手くいくとは限らなくて、時には「しくじり」をしてしまう場合もあり、どうしてそうなったのか?誰なら「しくじり」をする可能性があるのかを逆算して犯人に迫る。
※③フジテレビ系月9ドラマ『貴族探偵』の作者。サブカルの小ネタを仕掛けに利用したり、ミステリ小説の構造自体に対する、独特の問題意識が強い。
事件ファイルNo.4「切断された五つの首」
作者:大山誠一郎※④
探偵の萩本一平が遠藤律子から受けた依頼は、離婚した元夫・原口伸一が、娘に付きまとわないかを監視してほしいというものだった。
しかし、監視の最中、新聞集金のバイトをしていて伸一の家を訪れたつかさが、浴室で伸一の死体を見つける。
彼の死体は、首と両手首・両足首を切断された凄惨なものだった。
両手足首の切断位置が数ミリの誤差で綺麗に揃っていた理由、そして凶器を現場に放置していながら犯人が5つの首を持ち去った目的について、つかさと萩本で推理し合う。
〇現場の状況や関係者の証言から被害者の人間性や行動を掘り下げながら、その行動に振り回されてしまった犯人を突き止めるエピソードなのだが、犯人の特定に動機の大小は関係無い、という前提を思い知らされる話。
※④テレビ朝日系土曜ナイトドラマ『アリバイ崩し承ります』の作者。
事件ファイルNo.5「亡霊ハムレット」
作者:黒田研二※⑤
友達の我藤瑠雨からの招待で、豪華な仮装パーティーに参加することになったつかさ。
しかし、ファントムの格好をした瑠雨の婚約者が、ハムレットが着たという甲冑によってギャラリーで銃殺されるのを、警備員室のモニター越しに目撃してしまう。
さらに直後、甲冑が崩れ、中は空洞で誰も入っていなかったことが明らかになる。
はたしてこれはハムレットの亡霊の仕業なのか?
〇作者が作者なだけに色々と逆転している事件。アカシャの記述に矛盾があるなら、どこかに偽りの現象が潜んでいる。
※⑤『逆転裁判』『逆転検事』フリーホラーゲームの『青鬼』のコミカライズやノベライズ、『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』のメインシナリオなどゲーム関連の仕事を多く手がけている。
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