ドリンクバーと真実を ”ファミレスを享受せよ” が傑作

こんにちは。


最近ゲームの話ばかりしている私ですが、本当にいいゲームに出会える機会が多くて嬉しいです。
ゲーム実況をよく見ますが途中で、これは自分でもやりたいと思い、自分でエンディング回収をしてから続きを一気に見る事も時々あります。
こちらも好きな実況者の方がプレイされていたゲームです。


ファミレスを享受せよ このカタカナ混じりでやや仰々しいタイトル。
ど真ん中にボタンが並んだだけの、タイトルすらない真っ黒のスタート画面に私は惹かれました。


以下の全ては私の主観でのご紹介です。

ファミレスを享受せよ

ファミレスを享受せよ 公式サイト https://www.wakuwakugames.com/enjoythediner
Steam / Nintendo Switch
開発スタジオ・サークル:月刊湿地帯
Steam版, Switch版制作:Studio Dragonet

タイトル通り、舞台はファミレスです。
意味深なシーンを経て、主人公が24時間営業のファミレスを深夜に訪れるところから始まります。


ムーンパレス。小洒落た名前のファミレスで、主人公と他の登場人物たちは24時間どころか、終わりの見えない永遠をまさに享受させられる事になります。
料理も店員も無く、あるのはたった一台のドリンクバー。

主人公はムーンパレスに居る人物達とひたすら会話(容赦無い質問攻め)をして、交流するうちにそれぞれの真実を知っていきます。

ドリンクバー

見た事も聞いた事も無いドリンクばかりですが、一見何の変哲もないドリンクバーは、何故か中身が無くなりません。


この舞台においてドリンクバーは、唯一初めからある無機物でエンターテイメントを感じるものかと思います。
この環境でなければ、ドリンクバーがエンタメ?と鼻で笑えますが、本当に何もない場所で永遠を過ごすというのは、そういうことではないでしょうか。
何もない永遠の箱の中で、このドリンクバーさえあれば味を感じる事も出来るし、ドリンク一つで話題が出来るのですから。
命の有無などに関わらず、重要な存在です。


そうでなくても、ファミレスと言えばドリンクバーですよね。

ムーンパレスの人達

主人公
コミュ力が斜め上にカンストした女性。試験前。

レイルロード・スパイク
フォースプーンという国の王。
話してみると分かる懐の広さと達観しているような感性に、王の器を感じる。優しく親しみやすい凄く良い人。

ツェネズ
窓も見えない奥まった暗い廊下にある扉から出てこない引き籠り。
異常に腰が低く臆病な話し方をする。
後に某ファミレス名物のアレをくれる。

ガラスパン
サバサバした女性。と思いきや、意外と聞いた事はしっかり答えてくれるので話の通じる人。
初めは誰かと二人で来たようで、色々あったうえで今の性格に至った。

セロニカ
探求心に狂った、ただの人。今は。
主人公と近い時期にムーンパレスへ来た。

ノスタルジックな雰囲気・魅力

歪んだ線で描かれる二色の世界。穏やかなBGM。
一つしか無いセーブ。ほとんど選択するだけの単純なシステム。
高度な操作の必要が無く、小さい時からゲームをしていた人間ならきっと懐かしさを覚えるような、穏やかで少し切ない、とても落ち着く空気が常にあります。


これは私が一番、こちらのゲームをおすすめしたい要素です。


そして会話などから少しずつ読み解く、それぞれの心理や掻き立てられる考察、本編に収まりきらないほど練りに練り込まれた設定は、インディーズゲームの醍醐味ではないでしょうか。
僅かな目元、口元の上下や、文字列から想像する口調と意味のある言葉選び。
小説というには遊び心が強く、ゲームというには心が深すぎる。

ゲームとしてはもちろんですが、この世界が何より傑作です。

享受せよ

探せばあるのでしょうが、24時間営業のファミレスを見つけると何となく嬉しいです。時代に抗うかのような強かさが染みます。ただ立地と需要がマッチしただけかもしれませんが。

それとは全く関係ない、ムーンパレスの空気をぜひ噛み締めてみてください。
そしてプレイした際は、彼らの真実と選択と、好きなドリンクを覚えてあげてください。

素晴らしいストーリーと世界を、そしてファミレスを享受せてくださった製作者様方に感謝です。

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なまえ

エナドリとウォッカ

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