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Episode3 前半
数日後。
森の奥にそびえ立つ、一軒の古びた古城が見えてきた。
キャリーケースがギシギシと音を立てながら私は歩く。
どのくらい交通費を消費したかも覚えていない。
帽子をかぶっておいて正解だったな。
「でも依頼主は誰なんだろう? 姿が見当たらないのだけれど」
玄関前には、バラ園がありお金持ちが住んでいそうな雰囲気がした。
一応、私は妖魔捜査官として招待されている。
ドアの前で私は三回ノックした。
「ごめんくださーい。お呼ばれした者ですがーっ」
誰かが来る気配はまったく感じない。
その時だった。
「お前は、俺を助けてくれるのか?」
低く不気味な男の二重声が耳元でささやいた。
私は以前感じた気配を思い出し背筋が凍る。
今は振り返ってはいけないと思い、ドアの前だけを見つめて私は言い返した。
「貴方が何に苦しんでいるかはわからないけれど。きっと救ってみせる」
この発言がはたして正しかったのかはともかく、ドアの開く音がした。
そこにいたのは、赤髪ロングの白衣を着た学者のような外国人が現れた。
「ああ。やっと来てくれたのか、待たせてすまないね」
流暢な日本語で出迎えてくれたみたい。
「はじめまして。岸田相馬です」
「レオ・ジェイルだ。こちらこそよろしく頼むよ」
レオと呼ばれた男は私を快く招いてくれてすぐにドアを閉めた。
なんだかとても胡散臭い感じがして。
大きな廊下を歩くことになった私を蝋燭やキャンドルの光は勝手に歓迎してくれた。
「あの。ここの古城の関係者ですよね?」
「そうだ。本来であればメイドが迎える予定だったが今は外出中だったことを忘れていてね」
わーあ、レオさんったら意外とかわいいところあるじゃない。
白衣を着ているし強面だし物騒な事を言われたらどうしようかと思ったのだけれど。
「本当にここにお邪魔してもいいんですか?」
「勿論だ。手紙に書いてなかったかな?招待すると」
しまった、私としたことが救出作戦のことだけを考えてお泊りするなんて全然考えてなかった。
リリカさん曰く、この住み込みの人であるレオさんに気づかれないように捜査をしろということだ。
肝心のメイドさんがいなければ、お話にならないじゃーん。
忘れていたけど手紙の内容は・・・・・・たしかこんな感じだったかな?
【ソウマ・キシダ様 ご都合があう日に。ぜひ古城まで来ていただけないでしょうか?実は貴方様に、住み込みの学生さんのメンタルケアをお願いしたくて。わたくし一人では中々頼りにならないので。ぜひ、妖魔捜査官にお願いしたのです。どうか引き受けていただけると幸いですわ】
もしかして、私って探偵か何かだと思われているの?
まるでミステリー小説の主人公じゃん。
これが最悪のお泊りになるとも知らずに・・・・・・。
リビングのソファーでくつろぐ私を見て、レオさんはにこやかに笑っていた。
ここからは私とレオさんの会話が続くよ。
「レオさんって学生さんなんですか? 白衣を着ているから大学生?」
「ああ、スイス人だ。だが、今は通っていない。退学して日本で過ごすことにしたんだよ」
「えっ大学やめたんですか? どうして・・・・・・」
「いわゆる天才と周りからは呼ばれていてね。悔いはないさ」
「何を研究していたんですか? 」
「俺は【生命の研究】について色々。地下の医学部研究室でこもりきりさ」
とまあこんな感じで、レオさんは理系の人だったそう。
話を聞く感じ・・・・・かなーり病んでるねこれ。
彼は独自の研究室にこもりきりで今でも研究?を続けているそうなの。
「試作品が完成したら、相馬にも見せてやろう。きっと喜ぶぞ」
「わぁ、楽しみだなあ。ん? でもなぜ喜ぶの?」
するとレオさんはバツが悪そうな表情で焦りだす。
ちょっと待って、今、生命の研究って言ったよね?
(嫌な予感がしてきた)
不死身の怪異、現代のフランケンシュタイン博士。
私はとっても最低な予感を考えてしまった。
【また悲劇が起こってしまう前に食い止めなければいけない】
おそらく今回の怪異は、私が一番頑張らなきゃいけない相手だと思う。
ジェジュンとヴォルフよりも厄介な・・・・・・。
「あの、もしよろしければあなたの研究しているところを見てみたいなあって 」
「いいのか? 面白くもないぞ」
まずこの眼で真実と向き合うことが大事だと私は思う。
レオさんにとっては退屈かもしれないけれど。
「だって、知りたいから」
好奇心が勝ってしまった。
レオさんは、私の手を握り案内する。
この時の私はなんでやめておこうなんて言わなかったんだろう。
Episode3 後半

薄暗く静かな水音だけが空間に響きわたる。
引き返せ、と身体がいうことをきかない気がする。
胸騒ぎだけが私を不安にさせる。
「さあついたぞ。ここが俺の部屋だ」
不気味な医務室用の大きなベッド。
天井にはボロボロの蛍光灯。
はっきり言ってここは、拷問部屋だ。
「うわぁ・・・・・・・」
つい、ドン引きしてしまった。
その瞬間、私は研究室から抜け出していた。
なんかここにいたら自分が自分でなくなりそうな気がして。
レオさんは、どうしたと困惑していたが私はお手洗いに行きたいと言ってすぐ逃げ出した。
(ああ、馬鹿だなあ。私、なんでこんな仕事引き受けちゃったんだろ)
最初から引き受けなきゃよかったと思われている。
心がふたつあるのってなんか悲しいね。
今から戻って謝りに行ったっていいはずなのに。
普段なら何かが揺れ動くはず。
「もしかして恥ずかしくなっただけ?」
いけない、自分のプライドがここまで動くなんて。
すると背後から妙な気配が。
「!?」
大きな足音、鋭い緊張感がおそう視線。
哀愁漂う殺気も。
(このプレッシャーは、なに)
振り返りたい、戻ってもいい。
なんとも言えないこの感情をどうにかしたい。
また、低く不気味な男の二重声が耳元でささやいた。
「どうしてそんなに寂しそうにしているんだ?」
「うまく、コミュニケーションが取れなくてね。あはは・・・・・・」
私が振り向くと、そこにいたのは。
