皆さんこんにちは。10月30日は「初恋の日」です。人によっては初恋という物語があれば初恋が一度も無い方もいると思いますが、今回はある初恋の物語についてご紹介したいと思います。
とある中学校に通う中学2年生の男子中学生Aさんは、マンツーマン形式の特別支援学級として活動している心優しい少年です。性別問わない健常者とのふれあいを何より一番期待していたAさんは、より友達作りに励むべく、部活動について考えます。そう、Aさんは、中学校に入学してからずっと帰宅部なのです。「ただ帰宅するだけじゃ全然楽しくない。自分に合った部活を探さなければ」そう思ったAさんは、自分から志願して吹奏楽部の先生に見学を申し込み、特別に吹奏楽部の見学を認められました。親子運動会を翌日の土曜日に控えた金曜日の放課後、約束通り吹奏楽部の先生と待ち合わせをしたAさんは、実際に吹奏楽部の部活動の様子を見学します。「音楽なら大丈夫かも」そう思ったAさんでしたが、吹奏楽部の大変さを思い知らされ、吹奏楽部への入部を断念してしまいました。
そして迎えた親子運動会、吹奏楽部への特別見学を認めてくれた顧問の先生方に大変申し訳ない気持ちでいっぱいだったAさんは、クラスの仲間達、特別支援学級の先輩達や後輩達と共に様々なプログラムに臨みます。一つのプログラムを終えたAさんは、トイレ休憩の為体育館のお手洗いに向かい、そこである同級生の女子と遭遇します。その同級生の女子は次のようにお伝えしました。「A君先にいいよ」初対面にしてAさんに譲ってくださったのです。性別問わない健常者とのふれあいを期待した事が報われた事に安心したAさんは、この初恋物語以降、同級生の女子と新たに友達になっていき、合唱コンクール・文化祭を経て、晴れて美術部に入部したのでした。友達作りの為に。
さて、次に「初恋の日」の原点についてご紹介いたします。1896年(明治29年)のこの日、島崎藤村さんが『文学界』46号に『こひぐさ』の一編として「初恋」の詩を発表しました。島崎藤村さんゆかりの宿である長野県小諸市の老舗旅館「中棚荘」が制定し、記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。島崎藤村さんの『若菜集』には「まだあげ初めし前髪の林檎のもとに見えしとき前にさしたる花櫛の花ある君と思ひけり」という「初恋」の詩があり、この有名な詩が世に出たのが、明治29年10月30日です。これにちなんで、中棚荘では10月から5月にかけて湯船に地元のりんごを浮かべた「初恋りんご風呂」が楽しめます。また、初恋にちなんだ宿としても知られており、10月にはこの日を記念した「初恋プラン」という特別なプランが用意される他、記念イベントとして初恋をテーマとした作品(俳句・短歌・エッセイ・写真など)をはがきで応募してもらう「中棚荘・初恋はがき大賞」を長年行っていました。