8月5日は仙台七夕の前夜祭がある日でした。
毎年、この日には花火が上がります。
「今年は仙台の花火が見られるのね。」
仙台の実家で花火が見れるのは久し振りのことでした。
「ねえ、駅前の方が綺麗に見えるわよ。」
「そうね。行こうかしら。」
夏花は電話がかかって来るのを忘れていました。
夏花が駅前に来て、花火が上がる頃に電話がかかってきました。
その電話番号には覚えがありました。
祐樹の電話番号でした。
「園長先生には必ず出るように言われていたし。」
夏花は思い切って電話に出ることにしました。
「もしもし?夏花さん?」
電話からは懐かしい声が聞こえてきました。
相変わらず優しい声に夏花は泣きそうになりました。
「祐樹さん・・・。」
「電話に出てくれて良かった。切らないでね?」
「はい。」
「今どこ?」
「駅前。」
「仙台の?」
「そう。」
「花火を見ている?」
「うん。」
「僕も見ている。」
「テレビ?」
「違う。同じところで。」
「えっ?」
「後ろ。」
「え
後ろを振り返ると祐樹がいました。
「やっと、見つけた。」
「ごめんなさい、黙っていなくなって。」
「探したよ。」
「ごめんなさい。」
「一緒に花火を見よう。」
「うん。」
「毎年、一緒に見ようね。」
「えっ?・・・はい。」