同じ花火を見ていた4

 8月5日は仙台七夕の前夜祭がある日でした。

毎年、この日には花火が上がります。

「今年は仙台の花火が見られるのね。」

仙台の実家で花火が見れるのは久し振りのことでした。

「ねえ、駅前の方が綺麗に見えるわよ。」

「そうね。行こうかしら。」

夏花は電話がかかって来るのを忘れていました。

 夏花が駅前に来て、花火が上がる頃に電話がかかってきました。

その電話番号には覚えがありました。

祐樹の電話番号でした。

「園長先生には必ず出るように言われていたし。」

夏花は思い切って電話に出ることにしました。

「もしもし?夏花さん?」

電話からは懐かしい声が聞こえてきました。

相変わらず優しい声に夏花は泣きそうになりました。

「祐樹さん・・・。」

「電話に出てくれて良かった。切らないでね?」

「はい。」

「今どこ?」

「駅前。」

「仙台の?」

「そう。」

「花火を見ている?」

「うん。」

「僕も見ている。」

「テレビ?」

「違う。同じところで。」

「えっ?」

「後ろ。」

「え

後ろを振り返ると祐樹がいました。

「やっと、見つけた。」

「ごめんなさい、黙っていなくなって。」

「探したよ。」

「ごめんなさい。」

「一緒に花火を見よう。」

「うん。」

「毎年、一緒に見ようね。」

「えっ?・・・はい。」

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なないろびと

水彩画中心に絵を描いています。 他のクリエイターさんたちとのコラボに挑戦しています。 先ずはやってみることが、私流です。 少しでも、みなさんに幸せを届けられますように・・・。

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