半夏生(はんげしょう)は夏至を3つに分けた最後の3分の一の期間のことを指します。つまり、夏至から数えて11日目の7月2日頃から七夕(7月7日)頃までの5日間が半夏生です。
ハンゲショウという植物があります。
緑の葉の半分が白くなっている部分があります。
この話はたった5日間の恋の話です。
二人の出会いは偶然に偶然が重なったことで、始まりました。
「あ、同じお守り。」
「本当だ。偶然ね。」
いつも、左手首に巻いており、衣替えも終わり、半袖になったことから気がついたことでした。
彼の名前は京本光輝さんと言って、東京本社から出張で来た社員の一人でした。
「三ヶ月間の出張ですがよろしくお願いいたします。」
そう言って現れたのがまだ寒さの残る4月初め。
彼女の名前は板垣紗季と言って、仙台支社の営業課の紅一点でした。
「本社からの出張かぁ。テコ入れかなぁ?気を引き締めよう。」
先方は突然、本社から出張とあって、紗季は光輝に当たり障りのない対応をしていました。
「京本さん、このデータをまとめました。目を通して下さい。」
「板垣さん、これは何と読むのですか?」
「愛子と書いてアヤシと呼びます。」
「じゃあ、これは秋保と書いてアキウと呼びます。」
「いろいろ分からないことばかりだなぁ。板垣さん、お願いしますよ。」
「仕事のことでしたら、なんでもお聞きください。」
「プライベートなことは?」
「それはお答えかねます。」
「んー、LINEくらいはいいでしょ?仕事の連絡もあるし・・・。」
「社内チャットではダメなんですか?」
「外回りの時に不便でしょう?」
「分かりました。交換しましょう。」
「ありがとう。」
「仕事のことだけにして下さいよ。」
「分かっているよ。信用ないなぁ。」
「男性には苦労していますから。」