k氏、30代、社会福祉施設勤務、中肉中背、いたって温厚な性格。
彼は悩んでいた。
周囲の人から
「早く身を固めろ。」
というプレッシャーがかかるこの頃。
k氏は婚活を始めた。
今時はやりのマッチングアプリは真面目なk氏には不向きだった。
普段無口なk氏の理想は「明るく話上手な人」。
決して理想が高い訳では無かった。
そこで、結婚相談所に登録した。
k氏、割と写真写りが良いので、直ぐにお相手が見つかった。
一人目は明るく話の上手な女性であったが家事はお嬢様である為、全部、家政婦任せ。
花園 すみ花さん(28歳)家事手伝い。すらっとした美人。
k「すみ花さん、ご趣味はなんですか?」
h「お茶とお花です。」
k「家事手伝いと言うことですがお仕事はなさっていないのですか?」
h「実家が裕福なもので、働いたことが無いんです。」
k「じゃぁ、もしかして、家事はお手伝いさんがするとか。」
h「そうですが?」
k「それはちょっと・・・。」
h「大丈夫ですよ。お手伝いさん込みで結婚しますから。」
k「そ、そうですか。」
k氏は心の中で、これは話にならないと思いました。
二人目は山川 しずはさん(33歳)小柄、ぽっちゃり。
k「しずはさん、ご趣味はなんですか?」
y「マンガを読むことです。」
k「へぇー、ジャンルは何ですか?」
y「BL(小声)。」
k「えっ?」
y「BL(大声)です。」
k「はぁ、好みは人それぞれですから。」
y「あと、描く方も・・・。」
k「お仕事ですか?」
y「そうです。」
k「描く方もBLですか?」
y「いえ・・・エロ漫画で(小声)・・・。」
k「はぁ。」
y「で、でも、家事の方は得意です。」
k「あのー、失礼ですが、服にアイロンが掛かっていないようですが?」
y「すいません。ウソです。家事は忙しくてできません。」
k「そうですか。」
k氏はまた、ダメだなぁと思いました。
二人の女性とお見合いをしたことを女友だち(萌花)に話しました。
k「なかなか難しいもんだなぁ。」
m「そりゃ、そうだわ。k君、無口だもの。」
k「そうなんだよなぁ。」
m「kくんには私のような女じゃないとダメなの。」
k「そうだよなぁ。ん?今何て言った?」
m「だから、kくんには私しかいないの!!」
k「それって本気で言っている?」
m「じゃあ、私と結婚してください。」
k「はい。」
m「えっ?」
k「だから、はい。」
m「はあ。」
k「面倒くさいなぁ。」
m「うそ、うそ。よろしくお願いいたしまーす。」
k・m(にこにこ)