皆さん、もうすぐ節分の時期になりますね。節分といえば、恵方巻！でも、「今年はどの方角を向いて食べたらいいのだろう？」なんて思いがちだという事も珍しくありません。各々のお店では既に恵方巻の予約が始まっておりますが、中にはエビフライやヒレカツ、焼肉といった贅沢な食材を使った個性豊かな恵方巻も取り扱っており、恵方巻の形をしたロールケーキも期間限定で販売されております。
さて、ここからは恵方巻についてご紹介いたします。恵方巻とは、節分に恵方を向いて無言で食すると縁起が良いとされる巻き寿司の事です。そもそも商都大阪発祥の風習と言われておりますが、その起源の定説は未だ存在せず不明な点が多いのです。現在は「節分の夜に、恵方に向かって願い事を思い浮かべながら丸かじり（丸かぶり）し、言葉を発せずに最後まで一気に食べきると願い事が叶う」とされ、「目を閉じて食べる」或いは「笑いながら食べる」という人もおり、これは様々であります。また太巻きではなく「中細巻」や「手巻き寿司」を食べる人もいます。近畿地方の表現である「丸かぶり」という言葉から、元々は商売繫盛家安全を願うものではなかったとの考察もあり、民俗学において、フォークロリズムに関する研究題目として扱われる事があります。
「恵方巻」という名称は、1989年にセブンイレブン舟入店（広島市中区）の野田靜眞が「大阪には節分に太巻き寿司を食べる風習がある」と聴いて仕掛けた事により、1998年から全国へと広がり、2000年代以降に急速に広まった一方で、それ以前に「恵方巻」と呼ばれていたという文献類は見つかっていません。その他には「幸運巻寿司」「恵方寿司」「招福巻」などとも呼びます。
太巻きには7種類の具材を使うとされ、その数は商売繫盛や無病息災を願って七福神に因んだもので、福を巻き込むと意味付けされます。別の解釈もあり、太巻きを逃げた鬼が忘れていった金棒（鬼の金棒）に見立てて、鬼退治と捉える説もあります。具材は特定の7種の素材が決まっている訳ではありませんが、代表例としてかんぴょう、キュウリ（レタス・かいわれ）、伊達巻（だし巻・厚焼き卵）、鰻（穴子）、桜でんぶ（おぼろ）、シイタケ煮が用いられます。また、大正時代から昭和時代初期には漬物が度々挙げられ、他にも焼き紅鮭、かまぼこ（カニ風味かまぼこ）、高野豆腐、しそ（大葉）、三つ葉（ほうれん草）、しょうが、菜の花、ニンジンなどが使われる事があります。2000年代以降ではサーモン、イクラ、イカ、エビ、まぐろ（ネギトロ・漬けマグロ）などを使い「海鮮恵方巻」と称して店頭で売られている事もあります。具材の種類数でも7種にこだわらず、2種や5種などと少なくしたり、11種・12種・15種など多くする場合もあります。市販の恵方巻きには、普段は口にしない食材も含み様々な具材が使われ、切らずに丸かじりしている為中身が見えにくく、アレルギーの原因となる具材を見落とすリスクがあります。
小僧寿しは1980年代中盤より「縁起巻」（1986年商標出願、1989年登録）の名称で全国展開を行い、毎年キャンペーンを行っていたものの然程ブームには至りませんでしたが、後に、セブンイレブンが丸かぶり寿司に目を付け、「恵方巻」として展開した事で本格的な普及がなされる事になったのです。1989年、広島市にある加盟店7～8店舗を担当していた「オペレーション・フィールド・カウンセラー」が加盟店オーナーとの会話の中で恵方巻の存在を知り、新たなイベントとして広島市のセブンイレブンが販売を開始し、1990年以降販売エリアを広げ、1995年から西日本に販売エリアを拡大、1998年に全国展開をした事で急速に普及しました。2000年代に入ると全国の各コンビニで販売促進キャンペーンが行われています。2007年の日本全体での販売本数は約3000万本、2008年2月2日と2月3日の2日間で、セブンイレブンだけで388万本、コンビニ大手3社で約700万本が売れたといいます。コンビニではファミリーマートが先駆けであり、1983年に大阪府と兵庫県で販売が開始されました。
そして関連する新たなステップアップとして、節分が2月だけではなく年に4回ある事に着目した一部の店舗が、2010年から「秋の恵方巻」（11月）の発売を開始しました。2011年、夏の恵方巻（8月）はスーパーマーケットやコンビニ業界で行われ、スーパー関係では引き続きイオン、コンビニ関係ではファミリーマートが新たなステップアップを始めました。2012年、夏の恵方巻では新規参入が増えて幅広く行われ、スーパー関係では引き続き展開しているイオンでは「ドラえもん」を利用した商品を発売した他、新たにサミットやヤオコーなどが夏の恵方巻に参入、コンビニ関係では引き続き夏の恵方巻を展開しているファミリーマートに加え、セブンイレブンやサークルKサンクスも追随するなど、年々動きが広まっております。
さあ皆さん、恵方巻を食べて、福を呼び込みましょう！
