〔1〕
何やらこの世界の裏側で大騒動になっている中その一方、ある部屋では2号の誤りによって5号の頭部の棘を抜く作業に入る事になってしまう話から始まる様で…。
5号「…。」
〔2〕
5号「こ…これ踏ん張った方が良いのはわかるんですけど、この体勢で良いんでしょうか?取り敢えず言われた通り部屋の足場に摑まるというか支えにしてはいるんですけど…。」
2号「私もこの状況が初めてだから適当な事は言えないよ!この棘を引っ張り出せるかも定かではないからさ」
そう言いつつ5号に突き刺さった棘とそれにサイズを合わせた片手で掴み《ググッ》と力を入れると
〔3〕
思っていた以上に深く刺さっていなかったのか ふとした瞬間に《ズッ》っとあっけなく5号の頭からスッポリと抜け傍に居た〇の横を通過するどころか力を込めたその弊害か部屋の奥にまで飛びあまりの勢いに《ズゴォッ》っと大きな音をたて今度は壁に激突し、部屋の欠片は《パラッ》っと舞い落ちた。
〔4〕~〔5〕
この景色になった中、2号はこの新しい状況に楽しそうな表情をしながら
2号「うおッこれまた面倒な作業が増えたぞ!キナミ!見てごらんよ壁がバッキバキになったぞ!」
棘を抜かれた事で一瞬気を失っていた5号は2号の語り掛けで覚めるも目の先で起こった状況に衝撃しか見えない。
5号「え、うわーーーーー!!!?ちょっと2号さん楽しんでる場合ですか!抜かれた棘が〇に当たらなかったのは幸いでしたけど、奥の壁も壁で修復しなきゃじゃないですか!」
2号「何だかんだアンタも無事に済んだしさっきの話や〇の事を壁の修復しながら出来るんだから飽きも少なくて意外と丁度良いでしょう?」
そう言い2号は部屋にある棚の前まで移動すると
〔6〕~〔7〕
2号「まぁキナミ見慣れない状況に慌てるのも無理ないけど落ち着いて行動するのも一つの成長だよ、ひと先ず傍らに居続けた〇も負傷したキナミも寛いでいてくれよ。」
《ゴトッ》っと音がたつは棚一つ2号は二人へ落ち着く様に伝えると棚の中から何かを取り出すとその手に持った物を5号の前へ《ズイッ》っと差し出した。
5号「急に何ですか、何かこの世界の物というか俺らの身体と輪郭が違いませんか?」
2号「何だとはなんだ、ケガ人に渡す白い布と言えば一つしかない…これは現実から持ち込んだ包帯だ、足場に落ちたアンタの欠片で風穴を塞いで包帯巻けば多少修復は出来るハズだよ。」
サラっと言ってくれたが5号が聞き逃すワケがなく、質問で会話を繋げた。
5号「ちょ、ちょっと待ってください!現実から持ち込んだって…」
2号「取り敢えずアンタは質問が多い!話は後よ!」
==〔〔 ERROR 〕〕==
・・・・・ ・ ・・ ・_ _・ --- ・_ _・ --・ ・・- ・
≪?≫ 「時刻むは未来へと足進む道…私達の世界は繋がっている、これから始まるは忘れられた世界と共に残された■■の物語だ。さて本当の現実からこの世界を今見ている『貴方がた』は何を思うかは知らないがこの物語は永く続いた争いの中起き深く刻まれた残骸の痕跡である、この簡略化された人間がどう動くのか本来の肉体を持つ貴方がたが良く見守る事だ。」
〔8〕~〔9〕
5号が去ってから ある時刻、一方久しく見ない深緑色の一角は…。
3号「一体この世界に何が起きているんだ?この前の件といい5号さんが連れていた〇の違和感といい嫌な気がいつまで経っても治まらないよ…、命令でこの場に居るとはいえ肌もないのに寒気がする。」
廊下を右往左往に歩いていると微動に揺れる足場に気が付いた
3号「? また何か下の層から音がした様な、これも気のせいなのか…ずっと不安があるなぁ。」
〔10〕
落ち着けずに身体中を震わせながらその場にいると目の先にある通路から圧力の強い存在が彼の前に現れた、眼に悪い赤い色を持った権力者『1号』だ。周りを見渡す事なくその場にいた3号に話し掛ける。
1号「私を呼んだのは貴様か3号?」
3号「あ!1号さん、そうです〇を見つけました、というより出会った感じになるんですが…」
〔11〕
〇について口ごもった3号に対し疑問を抱いた1号は言葉を続ける。
1号「おい、この▲の世界に〇は存在出来ないハズだ、どういう事だ?」
3号「実は5号さんがいつもの見回りをして帰ってきたと思ったら異様な気配を放つ〇を連れて此処に来たんです。
その時にオレ咄嗟に〇の頭向けて剣を振り下ろしかけたんですけど、5号さんが…」
〔12〕
違和感を1号に長々と告げるも信用されていないのか新たな疑問が飛んできた。
1号「3号から見てその〇の見た目に明らかな違和感は無かったのか?黒い怪物が現れた等そんな話が一切無いのはどういう事なんだ?」
3号「黒い怪物は下の層に封印されているハズですよ!?それに1号さんもその姿や情報については届いていると思います。でもその後5号さんが連れてきた〇も怪物と同じ気を帯びている様に見えただけで、見た目はいたって普通の〇なんです…。」
1号「フン、たわけが!勘違いも腹立たしい。あの怪物が【器の倉庫】に封印されているだと? 馬鹿を言うなアレは一時的な捕縛だ何か異変があれば知らせる様にと伝えたハズだ、そんな中でお前は暢気に何の異変もない此処らでサボりか?」
「…だがお前の言う違和感の多い〇の存在、この一点だけは信じようじゃないか5号が奴を連れ2号のもとへ向かった。怠け者のお前にしては良い情報だ。」
〔13〕
【2号の部屋】に続く廊下へと足を運ぶ1号を見て焦り慌てた3号は彼に向かって話した
3号「もしその〇が怪物だった時、此処まで連れてきてしまった5号さんはどうするつもりなんですか…また落とすんですか、もう辞めにしませんか…ただただ荷が重くなるのはオレ達の方じゃないですか。」
質問に引き留められた1号はその問いに対し隙もなく口を開き答えた。
1号「こちらもこの世界の平和を望んだ身だがワタシはお前の様にお人好しではない何度も繰り返し行われてきた争いにメリットなんて無い…今回の件が何よりの証拠だ、ワタシ達もこの世界も。」
「…太陽を守れ、裏切り者は地に堕とせ…。」
そう言い放ち1号は3号を置いて廊下の暗闇に消えていきました。
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前半終わり。