見慣れた病室、しかし以前に比べて暗い雰囲気でどこか異質ないつも通りの外観。眠った気がしないように錠剤を含み暫くすれば眠い目を擦りながら眠りについた▾
___!
キーンとした耳鳴りを感じ、目が覚める▾
目が覚めた先。自分が元いた様な雰囲気の病室で昨日とは違った病室に入ってみよう!とルンルン気分で扉を開けてみた▾
どくんどくんどくん…扉を開けた途端大きな心音のような一定のリズムが常に刻まれる。
自分にとってはそれがどうにも気に食わない、常に音が一定だとノイローゼ気味になってしまうからだ▾
全面ともドス黒い赤肉…?のようなものでギッチリと敷き詰められている。天井、壁そして床▾
歩く度にベチャベチャ…とまるでインクの上を歩いているかのようで肉壁を踏む度に床の肉に沈み込まれそうになるような気すらする。
スリッパの裏を何となしに見たが肉から滲み出た血液のようなただの液体のような粘着物が染み付いた▾
まるで何かの大型生物の体内に入っているような感覚だ。妙に暖かく臭いはお世辞にもあまりいいとは言えない匂いが鼻を通過していく▾
「ここで転んだらもう二度と立ち上がれずにこの肉片に飲み込まれてしまうんじゃ…」
と、最悪な展開を予想してしまった。一度それを考えてしまってからは、慎重に慎重にその肉で出来た無限に続くトンネルのような場所を只管に突き進んだ▾
いくら進んでも肉、肉、肉。肉塊がまるで生きているかのように鼓動を続けるのみ▾
進んでいって一つ気付いたことがある。進むにつれて段々とこの空間が狭まっているようで、耳を塞ぎつつ奥へ奥へと進んでいく。自分の鼓動と重なってるような気がして形容のし難い気持ち悪さを感じる▾
長い。本当に長い。もう1時間、いや…5時間ぐらいは歩いているような気がする。いつになったら出口に着くのか分からないぐらいに道幅も細くなってきた▾
深淵とも呼べるほどの深い闇へと吸い込まれていったと思えば、大量の目が自分を見つめていた───▾