自分が絵を描く理由
“幼少期に受けた他者からの評価と、その後の造形表現に対しての「好き」「嫌い」は関連しているという結果が得られた。”
Quoted 美術教育学研究 / J-STAGE
上記にあるように、絵を描くことに苦手意識を感じる人間は幼少時代に絵を身近な人間から貶された、という経験が多いという話をよく聞く。
自分はそういう経験が記憶にある限りではない。当時褒められたかは不明だが、少なくとも描きたいものに対して否定されたことが幸運なことに、なかった。
自分が育った家庭はサブカルチャー的な娯楽に比較的肯定的であり、実家暮らしをそれ程苦に思わない程度には今でも親との関係は良好だ。それが人格形成の面においても、趣味を持つにおいても恵まれているのだと感じることがよくある。
幼少時代のフィードバックにはこういう文献もある。
“ーーなぜ「上手だね」と声掛けしてはいけないのでしょうか?
クリップ代表 木村歳一さん:
「上手な絵を描かないといけない」「上手なものを作らないといけない」というプレッシャーになると、そのうち疲れてきちゃう。
言い過ぎると、褒めてもらうために何かをやる方にすり替わっちゃう。”
Quoted 「上手だね」「何を描いたの?」はNG!? / TBS
自分は幼少時代の画力評価については覚えてはいないが、そこまで持ち上げられなかった記憶はある。下手に褒められると躓いた時にまずいということはあるかもしれない。
「上手」という誉め言葉は相手が大人であれば、モチベーションになることも多々あるから使いようだとは思う。
また、自分はSNSや個人サイトにイラストをアップロードしても(それが自主的に描いたものであれば)フィードバックがないことに特に不満はなく、そこまで絵を描くことに承認欲求が伴っているわけでもない。
自分は何だかんだで絵を描くことが好きということになる。
自分のイラスト遍歴
私が絵を描き始めた時期は「自主的ではないが楽しみであった」を含めれば、幼稚園の通園時に課題を課せられた時ということになる。私は当時から楽しさを感じていた。
それ以降は自主的に描いていたし、不登校になってリアルで見せる相手がいなくなっても描いていた。インターネットを始めて個人サイトに公開を始めてもフィードバックがないという理由だけで取り下げることもなかった。
絵をあまり描かない時期が成人後に半年〜数年程度あったが、どうやって描くかを忘れない程度にはペンを取っていた。数年前にとあるアニメに出会って二次創作を再開した頃にはポーズ集のデッサンも始めていた。
ただ、成人後の特定の数年間に上達を考慮しなかった時期があった。その「驕り」か、当時運営していたサイト経由で「へたくそ!」というニュアンスのメッセージが来たことがある。当時考えれば来ても当然だが、当時は凹んでいたくせに練習しようとも思わなかったと少し後悔している。もっとも、それが数年後のモチベーションになるとも言えるが。
他人に対して絵を上手くなれと思うことはあまりないし、あったとしてもそれを本人に伝えるべきではないと考えている。なぜならばそれはセンシティブな問題だと考えるからだ。絵を貶された当時の自分のように、相手が上手くなると思う前に落ち込んでしまうことは目に見えている。だとしたら、それは何のメリットもない。ただ相手のモチベーションを削いでしまうだけだと考える。(もっとも、指摘に至る事例の大半は創作SNSに大量に同じジャンルの絵を流したという事例であるため、当該事例の場合は相手のSNS利用上の不注意など別の問題が絡んでくるわけだが…)
私は自分が描いた絵は数年おきに処分する主義であるため、昔の絵はほぼ残っていない。卒業アルバムは何冊か残してあるため、たまに手に取ったりはするが、40手前になっても絵を描いていると当時の自分に言ったら信じてもらえるだろうか…と思う遠さである。
絵を描くことに関する好き嫌い
先述のとおり自分の場合絵を描くことに関しては教育によって課せられたルーティンがいつの間にか趣味になったという人間だが、大人になったら描かなくなる人も結構多いと思う。美術大学やデザイン系の専門学校に進学しなければ高校が最後ということになる(…だろうか。高卒であるため、美術科以外の大学の美術事情はわからない)
それは教育による嗜好・人格形成だったり、本人の嗜好だったりするわけだけど、前者である場合本人の関心を削いでしまった指導側や親がいたということになるため、いい匙具合の教育を行うことは意外と難しいかもしれない…と今更ながら思う。
絵の練習方法
上記の通り、私はとあるアニメ作品の二次創作参入をきっかけに絵の練習をするようになった。理由としては、二次創作の元ネタの作品が「食事シーンを徹底的に排除している」という作風だったため、食べ物を描きたいと思ったからだ。食べ物を描く際にネット上から画像を探してそれを参考にする必要があったため、そこから資料を見るという習慣が定着したと思われる。
上記ジャンルの二次創作を始める少し前にデッサン術の本も購入していたということで、本に載っているポーズを模写することも増えた。
そして、人物画で一番難しいと言われる部分は手である。手というと、イラスト生成AIを使用した際にもっともおざなりになる部分と言われるように(指が6本以上になったりする)、描き手本人の技術が強く問われ、尚且つ自動化しにくい部分である。自分は昔はかなり適当に描いていたが、自分の手元を見るくらいであれば…と練習を始めることとなった。現在もあまりよい手ではないが、昔よりは改善されたと感じている。
絵は最初は量をこなすべきだが(線の引き方など)、ある程度描いた後はそれだけでは頭打ちになってしまう。ゆえに、技術書を買うなり資料を探して描くことが必要となる。
※自分が一番買ってよかった絵の技術書は「モルフォ人体デッサン 新装コデックス版(出版社リンク)」。現在はパーツ別にコンパクトなものが出ているため、自分はそちらを都度買っている。
まとめ
自分は割とフラットな気持ちで絵を描いているが、それは結構珍しいことじゃないかと思って書いた記事である。自分の遍歴などもまとめた上で、自分はやはり絵を描くことが好きだと思ったという話だ。