花のおやつ

ある森の木の下に、1匹のタヌキさんが暮らしていました。

タヌキさんは、花を育てることが好きだったので、春夏秋冬それぞれの季節の花を育てていました。

冬は少し森の景色が寂しくなって、なんとなくタヌキさんも元気が出ません。

そこで、冬に咲く色とりどりの花を育て、自分を元気付けました。

ところが、ある日お昼寝から目が覚めたタヌキさんは、花壇を見てビックリ・・・!

そこに咲いていたはずの冬の花が、茎や葉を残して無くなっていたのです。

タヌキさんは悲しい気持ちになり、しくしくと泣きました。

「どうして花が無くなっちゃったんだろう・・・」

そこに一羽の鳥さんが飛んできました。

「たぬきさん、ごめんなさい。お腹が空いてしまって私が食べてしまったんです・・・」

たぬきさんはハッとしました。

  そうか・・・冬は虫や植物が少なくなって、鳥さんもお腹を空かせてしまうんだね・・・そうだ!

「鳥さん、私が美味しくて元気の出る花をたくさん育てますので、是非お友達も連れて食べに来てください。食べ頃になりましたら、歌を歌います。」

そして、タヌキさんは寒い日も一生懸命水をあげ、花を育てました。

森の花育ての名人、キジバトの奥様に花の育て方を習いに行き、そこで立派に育つ肥料の粉をもらい花壇の土に加えました。

少し経った頃に、たぬきさんの花壇は、見事に色とりどりの花をたくさん咲かせました。

たぬきさんは育った花を摘み、大きなお皿に盛り付けました。

「お待たせしましたー!!鳥さん!! 花のおやつですよ!!」

お腹空いたね 鳥さん 鳥さん 美味しく咲いた 色々な色の 花のおやつができました~♪

鳥さんは仲間を連れて一瞬で飛んできました。

そして、みんな大喜びで食べました。

「ピンクのお花は甘いよ!赤いお花はもっと甘い!!黄色は甘酸っぱいね!元気の出る味!!」

タヌキさんは言います。

「みなさん、たくさん食べてね。

あ!でも、白いお花は私が大切に見たいお花なので食べないでくださいね。」

そうして花のおやつ屋さんは大盛況。

タヌキさんはまたせっせとお花を育て、鳥さんを喜ばせました。

タヌキさんと鳥さんはこうして厳しい冬も元気に過ごし、いつの間にか穏やかな春を迎えました。

おしまい・・・♪

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ajimaro

花、生き物、音楽が好きです。感じたことやストーリーを、作品を通して表現できたらと思います。また、編み物など物づくりにも取り組んでいきたいです。

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