猫耳少女は夢をみない。#10

#10        「アニとオトウト   2」

皆様、此度の選挙活動に出席して頂き嬉しく思います。
つきましては、お礼として我が国のおもてなしを今宵、
月が隠れるまでどうぞお楽しみ下さい

それでは、皆さん!
グラスの準備はいいですかー?
次期国王に、乾杯~~!!

選挙お疲れ様会と次期国王決定の宴が同時に城で開かれ
王族関係者が城へ招かれた。
応援演説を手伝った、ルージャ…その妹も当然招待され、
ルージャと一緒にタスキや演説内容を考えたラナも招かれた。

本当に私たちなんかがこの場にいていいのかしら??

なんか、場違いよね…

パーティーって知ってたら、もうちょっとカッコイイ衣装着てきたのに!

このなかで、ラナが1番服装気にしてるけど
私たち姉妹に比べれば
まだ・・いいほうじゃない?

あれ?負けた方の皇子いないんだ・・・??

こういうのには参加しない主義らしいわよ。
何考えてるかわからない人だし

輝から聞くと、ろくでなしだしね!
放っておいてもいいんじゃない?

私、ちょっと散歩してくる!

妹、サリウスはいつもの散歩コースに向かった。
パーティー会場では、デザートが登場したと同時に
遅れていたシアン姫も登場し賑わっていた。

すみませーーん、遅れましたーーー!

姫様、ゆっくり…段差にお気をつけて!

姫様、こちらが椅子です。
何かありましたら、なんでも申し付けてください!

さっきまで、食事に夢中になっていた王族関係者が
急にシアン姫を気遣いはじめた。
シアン姫は輝の腕を引っ張って…
マイクをもってにっこりと、話をした。

みなさん、唐突の選挙に参加して頂き
ありがとうございます!
こちらにいらっしゃる、
輝様とワタクシは本日をもって婚約者となります。
我が国、元パナニエル王国は猫耳族しかいなく
人口も年々と減りどうしたものかと、
頭を悩ませていたところ
元ギリタンラン国の現国王から
合併のお話を頂き今に至ります。
最初は戸惑いもありましたが
次期国王の輝様が
合併した国を何より大事に思ってくださり
近年、減少し続けていた猫耳族は
先月から人口が安定しています。
これも、すべてハンターといった悪さをする者を
輝様が退治なさってくれたからと思います。
未来の花嫁として、
ワタクシもこの国のためにできることは
全力を持って協力したいと思いますので
みなさん、宜しくお願い致します。

・・・・・・? 未来の花嫁・・・???
うん??どういことだ。

あの、シアン姫っ…

いけない!私ったら!!
では、未来のワタクシの婿殿から
一言お願いしたいと思います!

え・・・
その場は、唐突だったけど場に沿った挨拶をして沢山の拍手をもらった。

輝が…婚約・・・・

これは、すごいことになったね…

パーティーが終わったあと、ラルルとして会議を開く予定だったが
シアン姫が輝を離すことはなく連れまわされて
疲労困憊の輝を見て2人は明日にしよう!と
アイコンタクトで現状を理解し
遠くから見える2つの手を見て手を返したのだった。

輝様は、猫耳族とも仲がいいのですね?

ルージャとラナは友達です。
いつかこの国も、種族とか関係なく
分かり合えたらなって思います
もちろん、姫君とも仲良くさせていただきたく存じます。

・・・・・・そうですわね…

つきましては、シアン姫…
近々お話をしたいのですが…

では…明後日ではどうでしょうか?
その日は1日オフなのです。

わかりました。明後日お待ちしております…
風邪をひかぬようお気をつけください…

そう言って、自分のコートをシアン姫に被せ、
“また”と笑顔を振りまいて帰った輝。

本当に・・・・お優しいお方…
ご自分の身は心配なさらないのね…

未来の花婿・・・・。
その言葉を言われて、本来嬉しいはずなのに胸が苦しかった。
それは、ルージャが目の前にいたからか…。
それとも・・・・・
何としても・・・・シアン姫に、婚約の件を分かってもらわなくては・・!!

どーーーせ、俺はだらしない方の皇子じゃんよーーー

あら、ちゃんと自分のこと分かってるじゃない?

あーーー!お前は!昨日の!!

ガッカリだわー!
私を見返すんじゃなくて?
あっさり負けてやんのー

これが、俺の・・・実力じゃん・・・

ずっと負けたままでいいの・・・?

今更、掲示板とかで俺の悪口書かれてるじゃんよ・・・。

見返すんじゃなかったの??

もう・・・・遅いじゃんよ・・・
選挙に負けたあとなんて、
負け惜しみとしか捉えられないじゃんよ・・

なら、方法は1つね。
あなた自身が変わるしかないわ・・・

・・・・・?俺には才能がないじゃんよ・・
輝みたいになれないじゃんよ

弟みたいになるんじゃなくて、
あなたが国民にどう思われたいかよ・・?
それだけであなたの世界は大きく変わってしまうものよ

青海成に、近づく女性はいままで権力やお金目当てで
彼をちゃんと見てくれる女性は近寄ってこなかった。
そのなかでも、サリウスは青海成の内面をちゃんと見てくれる女性
彼にとって、これが初恋。
自分から他人を好きになるその瞬間だったのだ…。

君の名前・・・・改めて聞きたいじゃん・・・

な、なによ・・そんな真顔で言われたって
教えてあげないんだからッ・・

頼む・・・。
君の名前、知りたい・・・じゃん

サリ・・・ウス。
私の名前・・・サリウスよ。
次会った時にはちゃんと覚えておきさないよー!

冷たい夜風に吹かれ颯爽と消えていくサリウスをずっと眺めていた成
砂浜に大きな木の棒で大きく文字を書いた。

サリウス・・・・

サリウスに認めてもらえるような男になりたい。
もう、だらしない方の皇子じゃなくて…
ちゃんと俺の名前・・・成って。呼ばせてやるんだ…

サリウスとの出会いは、成を大きく変えていって…周囲を驚かせつつあった。

父上、いままでの無礼をお許し下さい

おまえ・・・本当に成か・・・・・?

つづく

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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