エンジェル・プロフェッサー【短編集】プロローグ&ACT1

Prologue

一瞬一瞬の、この神聖な時間を大切にしていきたい

祈りをささげるだけなのに、イヤな感じはまったくない

牧師服を身にまとい首元には銀色のロザリオネックレスがキラリと輝く

時刻は今、午前十一時半、まだお昼にもなっていない

静かなこの教会でただ一人、私は祈りを捧げていた

風の音だけが、扉からすーっと

天職なのではないかと幼い頃から思っていた今日この頃

ただ一つの革靴のような

こつん、こつんと歩く足音がこちらに近づいている

私は祈りを捧げるのをやめ、一礼して背後をゆっくりと振り向いた

誰もいない

もしもイタズラなら・・・・・・なんて下品な考えはよろしくない

しかし、どこからか走ってくる音が聞こえてきたとき

他のシスターたちが次々と現れる

わたしが提案をしたその時だった

背後から背筋が凍るような寒気が襲ってきた

鉄の焦げた匂いも

あなた・・・・・自分が何をしているのかわかっていらして?

嘘でしょう?本当に何もしていないのですの?

ご自分の身分ぐらい、しっかりしたらどうなの?

シスターたちが、何やらひそひそと話している

いったい何の冗談を言っているおつもりなのか

わたしは正直に話す

シスターたちが正気を疑うような目でわたしを見つめた

それも赤い目で

当然ながら恋人などいない、シスターには不要

生暖かい息が首筋から伝わってくる、それも付きまとうように

違和感を感じた

少なくともわたしは嘘を言ってない

次の発言で気づかれるまでは

ACT1:目覚める天使

ベッドから起きあがったシャロンは時計を見る

時刻は午前五時四十分、早朝だった

金髪のブロンドロングヘアーにキレイな水色の瞳

今はもう、シスターではない。

信じられない話かもしれないが、シャロンは天使なのだ

現在は聖咲ひじりさき家のお屋敷で暮らしている

シャロンが目覚めた時には既に天使像は壊れていて、大騒ぎになっていた

その時、聖咲栄進えいしんというお屋敷の主が彼女を引き取った

栄進は教会の管理人の仕事をしていた為、シャロンを恐れなかった

栄進の言葉のおかげで、シャロンは生きる意味が見つかった

自分の名前だけを覚えていて、この先どうしたらいいか

栄進は家族のような暖かい人間だった

まさか天使像の中で眠っていたなんて、フシギ過ぎる

栄進との約束を守りながら今日もお嬢様らしく過ごす

銀色のロザリオネックレスをぎゅっと握りしめ、首元にかける

すると玄関のチャイムがリンリンと鳴る

シャロンが玄関前まで走りドアを開ける

スーツ姿の顔立ちの良い青年が現れた

シャロンは二コリと微笑み、うなずいた

シャロンはきょとんと首をかしげるが、すぐに青年をお屋敷に招いた

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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