#13 「ヘンリー」
君が・・・魔王様だったのか・・・・・
こんな、小さい子が魔王様だったなんて!!
何十人もの人間をハンターに変えてきた悪。
一体なんでこんなことをしたのか…
どうして君なんだ…?!ヘンリー!!
輝様、少しばかり捻くれた子供の過去を聞くかい??
ああ…
僕は、生まれながら両親に捨てられた。
生きる術もなく途方に暮れて
命が尽きることを静かに待っていたけど…
救いの手はギリギリ届いた……
そのお方は、自分のことを“魔王様”と言い
食料と金銭を譲渡する代わりに
自分の仕事を手伝ってほしいと手を差し伸べた。
顔は分からなかったけど、
瀕死の僕を見殺しにせず救ってくれたことに
ちょっと・・・・嬉しかったんだ・・・・。
いままで、人に愛されることも
手を差し伸べてもらうこともなかったから…
僕は、その手をとって
命の恩人の“魔王様“の
命令に背くことはなく仕事をつづけた・・。
そのとき、僕は5歳だった
書類のファイリング、食器棚の清掃、
お客様用のカップを新しくしてくれてありがとう
なんでも、お申しつけください!!
ヘンリーは、今年で7歳だね?
はい!あと、3日で7歳になります!!
じゃあ、7歳になったら
今より難しいお仕事を頼もうかな?
はい!喜んで!
誕生日プレゼントも用意するから待ってなさい
3日後に、新しい仕事内容を口頭で説明された。それは“人殺し”だった。
僕も猫耳族だけど同じ仲間の瞳を狩るという命をもらった。
いやだ!って、はっきり言えばよかったんだ…。
命の恩人の言うことに背くことはできないって勝手に思ってて…
その行動が招いた結果・・・
“魔王様”はお亡くなりになられた。
僕の、身勝手な判断で…抗った仲間が“魔王様“を刺した………
ヘンリー……これからは、嫌なことは嫌だと言いなさい・・・
これは父さんとの・・・・約束だよ・・・?
・・・・父さん・・・?
ああ、そうだ。
ごめんな・・・・あの時・・・・・
お前を見捨てて……
私はずっと、お前のことが気掛かりで・・・
戻ってきたんだ。
また一緒に暮らしたくて・・・・・
あの女さえいなければ・・・・
いつまでも2人でいられたのになぁ・・・・・・
父さん・・・父さん・・・
こんな私をまだ、父さんと呼んでくれるのかい?
嬉しいねぇ・・・
み・・・・右の胸ポケットに・・
プレゼントが入ってるから・・・
あけてみなさい・・・・
きっと、喜ぶ・・・
父さんーーーーーーーーーーー!!!!!!
父さんは息絶えた。
僕は、父さんからのプレゼントをすぐ開けた…………
中身は5歳の時に森を散策したとき見つけた花の押し花だった。
父さんが、なんで魔王様と名乗っていたのかは分からないけれど…
僕は父さんが叶えられなかったことを代わりに叶えるから!!
すべて叶ったら、僕も父さんが逝った場所へ逝けるかな・・・・?
そんな僕でも心が惑わされたことがある。
それは、ラナ・クロリウス
僕の・・最初にできた友達で年齢も同じくらいだった。
僕が欲しかったもの全てを手に入れてて羨ましかった・・・
原因はラナ自身にあるのではなく、
ラナのレッドアイにあるんだと確信した僕は友達をリストアップした。
計画は徐々に進み、あと一歩でキレイなラナの瞳が
この部屋に飾られると高揚感溢れていた!!!!
だが、第2皇子が動きだしていたことに気づかず
計画は失敗・・・誤算だった。
あれから、死呪怨での狩りはしづらくなり第2皇子の対応か・・?
予備に作らせた死呪怨が壊滅状態に陥り僕は唇をかみしめた。
僕の敗因は、第2皇子とラナが繋がっていたことだ。
上には上がいた・・・。
仲間を狩るのはよそう・・・、注文も出さない・・だから
食べ物を・・・・僕に・・・・恵んでくれ・・・!
お腹が空いてチカラが出ず倒れた先は、第2皇子がいる城だった。
すぐに兵士などに捕らえられ牢獄へ連れて行かされた。仮面を剥いだ僕は絶望的である。
分かってはいると思うけど、
君のせいで何人もの猫耳族が亡くなっている。
怪我をしたものもいるが
後遺症が残り瞳というワードを聞くと叫ぶ子だっている……
君がしたことは、新条約にも違反するし
放っておけばまた君のような模倣犯が
出現するかもしれない・・・。
そんなことにならないためにも、きみを成敗する・・・
下された罪状は多かった
なにより重たかったのは
死刑だ。
明後日の夕刻に君は炎で炙られる
僕の死に方だった・・・。
こんなことをしておいて楽には死ねないと思ったけど
考えていたよりも怖い・・・
つづく