#21 「新事実」
控え室にて、輝はラナの居所を知っている唯一の目撃者と面談をしていた。
目撃者の名前は・・・ゼジェン・アーガニック
ラナと同じくらいの身長で猫耳族の少年
目撃者の情報は数少なかった。
森で・・・見かけました・・・
ラナが森にいたんだね?
うん・・・
他には何かない?
黒髪の男の人が・・・・いま・・・した。
男の名前とか分からないかな??
ううん・・・・。
森で見かけたのは、その2人・・・
どこの森か分かるかな・・・?
そこまでは・・・・。
ボクは、友達とかくれんぼしてて・・
あの森に逃げて・・それで・・・
もういいよ。ゼジェンだね??
有力な情報ありがとう。
今度、また会えないかな?
できればその森に案内してほしい・・・・
わかり・・・ました・・・。
じゃあ、ニャルタウンで
待ち合わせ・・・しましょう・・・
いいよ。この日なんてどうかな??
ときどき、口ごもり・・口を開けては閉じて・・・喋るのが苦手なゼジェン…
次に輝と会う約束をとりつけゼジェンは話が終わると、
そそくさと帰っていった。
あの人・・・・・
話しやすかったな・・・・・
輝様・・・いい人・・・・
ゼジェンが城から帰ると、
入れ替わりのようにラナがゆっくりとニャルタウンへ到着
1番先に向かったのは城ではなく自宅だった。
トントンッ
自宅のドアをノックすると、げっそりした顔のラナの母親が声小さめで出た。
ただいま、父さん・・・母さん!
!!!!あなたっ・・・!!
ラナ!!
久しぶりの親子の再開、ラナの両親は嗚咽する
もらい泣きするかのように、ラナも嗚咽を漏らす
な、何も・・・泣くことない・・・じゃんよ!!
自分の目の前で、サリウスが号泣するのは初めてで・・扱いに困る第1皇子
慌てながら成がとった行動は剥いたフルーツを強引に食べさせた。
・・・・おい・・・しい・・・・・。
ちょっと、塩っぽいけどね・・・
それは、涙の味じゃん・・・
・・・・・成・・・・ありがとう・・・
え!いまなんて・・・
もう一度、頼むじゃん!!
明日からまた、呼んであげる!
だから、今日はこれでおしまい!!
ま、あんたと駆け落ちなんて
死んでもイヤだけどね!!
駆け落ちを拒否され、ショックを受ける成だが
初めて好きな女の子から本名を呼ばれたことに感動を覚えたのであった。
翌日。
ルージャ・ペンダンテは、初の短髪姫となり
就任の儀を無事に終わることができた。
そして、就任の儀が終わると共に司会から
全国民にニャーテレビに目を向けて下さいと言う
全国民が目を向けると、そこには女王が映り込む
国民の皆様、ご無沙汰しております。
この国の女王、ミアン・トゥルーダです!!
長くの出張に渡り
昨日漸く我が国に帰ってくることができました。
私が、留守にしていた間に
いろんなことがあったようですね??
王族選挙に、第1皇子の婚約、
そして・・・・姫の交代
今日は、その姫交代について
私から話させていただきます。
前の姫の無礼な行動や発言を
第1皇子様と第2皇子様に深くお詫び申し上げます。
私情は、一切挟みませんが
不覚にも前の姫は私の実子でした。
第2皇子の輝様のことを好いているというのも、
私は帰ってきて初めて聞きました。
報われない恋に目を覚ますことなく、
第1皇子様を暗殺しようとしたり
王族関係者には本当に・・・
なんと言っていいものか・・
言葉がありません。
あの子がしたことは許されることではありません
ですから私は国王を恨みません。
国から追放されて当然の結果です。
私の娘がしたようなことを、
国民の皆様にはしてほしくないのです。
そして、新たな姫の誕生を私は心から喜びます!!
ルージャ・ペンダンテ様には、
母親がいないとのこと・・・・
私はルージャ・ペンダンテ様の
第2の親になろうとココに宣言致します。
この方なら、この国の姫に相応しいと思いますし・・・
私とルージャ・ペンダンテ様の産みの親は実の姉妹。
ルージャ・ペンダンテ様からすると、
叔母の立場ですがそれでも実の娘のように
可愛がりたいと思います。
そして、もう1つ大事な・・お知らせを皆さんに・・・
国王と私はこの度、結婚いたします。
女王の長い話を国民は理解し中継が終わると拍手喝采
女王の前の夫は数年前に事故で失い
それから、少し娘と2人で暮らしていたが
夫がしていた仕事を引き継がなければいけなくなり国を離れ出張の日々だった。
だが、国を離れる前から現国王と結ばれており
再び国に帰ってきたときに結婚することを約束していた。
叔母さん・・・だったんだ・・・・
衝撃の事実に、ルージャは驚いたが女王と話す機会を設けた。
そして・・・中継が終わりラナは城へ行くことを決意
輝様、本日の予定ですが
残りは夕刻の会議だけで他はオフです。
わかった。
夕刻までには帰るから・・・
それまでルーのことを頼む
御意
ラナが来ていないか確認し、城から出た輝
リリアルを見るとラナからの返信が返ってきており近くにいることを知る
そして・・・・・ラナを見つける
ラナ!!
輝!!
走ってきたのか、呼吸が激しく息急ぎ切り言葉にならないラナ
やっとの再会に喜ばしいが様子をみて水分を受け渡す輝
落ち着いて・・・これ、飲んで・・・・
あり・・・・・・がと・・・う
輝からもらった水分を一気に摂取し落ち着くラナ
すると、今度はラナが輝に何かを受け渡す
コレ・・・
コレは!!!!
聞きたいことがいっぱいあった輝だが、
ラナから渡されたものをずっと見つめては当時のことを思い出していた。
つづく