「うさぎさん、どうしておびえているの?」
少女に不思議そうに問いかけられて、シロウサギははっと我に返った。
そうだ、自分は彼女に助けてもらったのだ。
(それなのに、僕は・・・恥ずかしい)
両手をぎゅっと握りしめ、ぺこりと頭を下げる。
「助けてくれて、ありがとう」
シロウサギの言葉に、少女は微笑んだ。
「どういたしまして。無事・・・ではなさそうだけど、君があれ以上傷付かなくてよかった」
少女はシロウサギの傷だらけの体をちらりと見て、目を細める。
初対面の彼女が自分を心配している事を察して、シロウサギは胸に抱いていた疑問を口にした。
「・・・なぜ、僕を助けてくれたのですか?」
「君に聞きたい事があったから」
少女は迷わず即答する。
「聞きたい事・・・?」
「うん。この世界でいちばん強い力を持った人って誰?」
「────」
シロウサギはゆっくりと瞠目した。
(”それ”を、知らないという事は)
彼女は。
シロウサギの中で少女に対する違和感が一本の線になった時。
「危ない!!」
少女が唐突に彼の大きな体を強く突き飛ばした。
「ッ!?」
次の瞬間見えたのは一秒前まで自分たちが立っていた地面を巨大なフォークが大きくえぐり、土のかたまりが周りに飛び散る光景だった。
己の武器で二人を串刺しにしようとした人物は大きなシルクハットをかぶり、帽子のつばの影からは冷酷な双眸がのぞいていた。
「────よけたか」
つづく