#25 「愛する者の為に」
助けて・・・・助けて・・・
仲間が・・・・襲われる!
波に紛れた微かな小さい声を深沢は聞き取っていた…
一緒にいるラナには、小さすぎて気づかなかった。
というほどの聴覚の違い……
なぁ、いま・・・聞こえなかった?
え?聞こえなかったよ・・・
俺には聞こえたんだ・・。
微かに助けを求める女の子の声が・・・
なんて言ってたの?
助けて・・・・助けて・・・
仲間が・・・・襲われる!
ほら、いまも聞こえただろ??
いや・・・ボクには何にも・・・
聞こえた、聞こえたと言い張る・・深沢。
聞こえる波のほうへ1人歩いてく
そのままでは波にのまれちゃうと助けに入るラナだが深沢は水面へ
放せ!!
あの子に・・・
初恋の子に似てるんだ・・・・
あのこが・・・
助けを求めてるなら・・・・
俺は・・行く!!
ダメだよ・・・・夜は、波の動きが急激に変わるんだ・・。
明日でいいじゃんか・・
今じゃなきゃダメだ!!
・・・チェルシーが・・・・
足にしがみついて止めようとしていたラナは
深沢の想いに負けて陸にて流される
そのとき、人魚の尻尾が見えて目を閉じて気絶…
ナ・・・・ラナッ!!
目を覚まして!!
ラナは女性の声と共に起きる。
片目を開けて、起きると見覚えのある子が眼の前にいた。
ラ・・・・ディア・・・・?
そうよ!!久しぶりね!!
ツアーが終わって、あとは引っ越しの準備だけだったから
戻ってきたわ!!
ラディアはラナとの再会に喜びラナに抱きついた。
ラナはあたふたしながら状況説明する
ダメだよ・・ボクの服さっき、波で濡れちゃって
かまわないわ!!
ところでどうして、海辺にラナがいるの?
・・・っは!
そういえば、さっき人魚の声を聴いたと言って
波の向こうに行った男性(ひと)が・・
ええ!波にのまれちゃったの??
私、輝さんから少し聞いてたけど
海辺にラナがいるとしか聞いてないのよ・・
輝が!!よかった、連絡がいって・・・
ラディアは輝から話を聞いてて、
この国に移住することもあるのでラナの様子を見てくれと言われていた。
後で追うと伝えてくれと頼まれた。
ラナは、貝殻を渡したとき以外輝に会っていない
連絡も自分ではできないので、輝の現状を知って安心した。
大にぃと一緒に、調査しにきたんだ。
人魚狩りの件・・・
大にぃの初恋の人がいるらしい
そうなのね?でも、ラナには関係ないと思うんだけど?
長い話になるんだ。すべて終わったら聞いてもらえる?
ええ、もちろん!!いつでも待つわ!!
いまは、大にぃの安否を確認したい・・・・
私も手伝うわ!!
波の向こうに、ラナとラディアは手をつないで入っていくところを
息を切らし走ってきた第2皇子・青海輝
二人とも!心中なんて、やめるんだ!!
え、輝??違うよ・・・
今日の夜は荒波が近寄ってくるって聞いている。
いいからこっちに・・
私たちは、人魚と共に沈んでいった男の人を
助けに行こうとしてたのよ?
その・・・・男性って・・・・?
大にぃだよ・・・
つづく