TSS #21-3

THRILL SHOCK SUSPENSE #21

2025年6月   変わらない評価を受ける名作推理ADVを紹介   愛及屋烏

本陣殺人事件 (1946)

金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件 Switch (2025)

Continuation from last page. 21-2 https://no-value.jp/column/116144/

金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件

昭和という時代の歪んだ抑圧がひとつの事件を起こさせた―。

名探偵・金田一耕助の最初の事件

「本陣殺人事件」初のゲーム化

昭和の情緒、怖さ、薄気味悪さたっぷりのミステリーパズルノベルゲームが令和に登場。

悍ましき密室殺人、一柳家の妖琴殺人事件。

プレイヤーのアナタは、岡山の探偵小説家と共に事件関係者や村人達から集めた証言を繋ぎ合わせ、真相に導く事が目的です。

そして、この事件を舞台とした探偵小説を完成させましょう。

概要・2

金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』はSteam(PC)/Nintendo Switch用のゲームソフトとして、colyKADOKAWAの協力及び監修の元で開発し、2025年4月24日に発売された。

メインビジュアルは原作の表紙に合わせて、一柳鈴子と愛猫の黒猫。

事件の内容自体は原作とほぼ同じだが、本作内では事件が既に解決済みであり、プレイヤーは傍観者的な立場として、『本陣殺人事件』の著者※の手伝いとして、彼が書き溜めた「覚書」の断片から各発言の話者や出来事の時系列を正しく整理していく事になる。

作中にこの作家の実名は一度も登場していない。

このゲームシステムは、韓国のインディーゲームクリエイター・Somiが開発したゲームソフト『未解決事件は終わらせないといけないから』と類似しており、Somiから正式に許諾を得て、本作は制作されている。

本作においてプレイヤーが行う推理は、犯人および犯行動機の解明に焦点が当てられており、トリックについては金田一耕助が解き明かす。

一方で、事件のキーポイントとなる事柄については、クイズ形式でプレイヤーに出題される。

この質問もそれまでの覚書の整理作業にしっかりと取り組んでいれば、迷わずに答えられる物が多く、物語完結までサクッと辿り着く事が出来る。

なお、5月7日まで発売記念15%オフのセールが開始されている。

動画配信の10章以降の解禁は翌日の5月8日から。

※原典の小説において、金田一耕助の関わった事件を記録・小説化をしているのは横溝正史自身をモデルとした「Y先生」「S・Y」「成城の先生」等と呼ばれる探偵小説家である。

あらすじ・2

1937年11月26日午前4時頃。                                                      岡山県の旧本陣の末裔である、一柳家の屋敷の離家で、結婚式を終えたばかりの新郎新婦・一柳賢蔵、久保克子が布団の上で血まみれになって死んでいた。

事件当夜、離家内には死んだ夫婦以外に誰もおらず、降り積もっていた雪の上にも犯人の逃げた跡のない『密室の殺人』であった。

事件の知らせを受けて駆けつけた探偵・金田一耕助は、証言を集めながら、『密室の殺人』の真相に迫っていくが……。

果たして、どんな結末が待っているのかー。

後述

小説やドラマで原典を知っている人がプレイを進めていくと途中で「あれ?」となる場面があると思う。

本来のオチに比べて随分とマイルドな終わり方をしそうだぞ?と。                                 ありがちなゲーム化にあたっての改変か、と思いきや心配無用。

『未解決』が二段エンディングだった様に本作『本陣殺人事件』にも『真相編』がある。

一度ゲームをクリアした後、タイトル画面から『真相編』を選んで再開。                                  こちらの『真相編』が所謂、原典小説のオチに繋がる。

ゲームは途中の章から始まり、シナリオが分岐。隠されていた真相へと向かう。

面白いのが、一週目で提示された証言(覚書)の内容自体は変更されず、追加の覚書が加わる事で異なる決着に辿り着く点。

トリックや犯人自体は一週目と変わらないが、その本当の動機は実に金田一的。

本当の動機への手掛かりも実は一週目の段階で既に提示されている。腰を据えて遊べば、半日も掛からずにクリア出来るだろうが、満足度は意外に高い。

現代風にアレンジされた各人物のグラフィック、美麗な場面背景、解答編で挿入される実写ムービー、名作ADVに倣ったゲームデザイン。様々な要素が噛み合い普通に小説を読んだ時よりも、事件や人物への理解が深まるだろう。

今後も同じシステムでのシリーズ化を期待するぐらいには、良いゲームだった。

END.

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愛及屋烏

ゲーム好き、小説好き、アニメ好き、三役揃いの物書きの端くれ。 ピンチに陥っても、それはそれで気楽にやるタイプ。 ●好きな言葉:続編・クロスオーバー・オールスター・アンサーソング・データ引継ぎ ●好きなゲーム:DQ・軌跡&イース・スパロボ・ゼルダ・神宮寺・逆裁・ラチェクラ ●好きなサブカル:ロボ全般・特撮全般・少、青年誌系 ●好きなドラマ:科捜研・相棒・CSI・キャッスル・十津川警部・赤い霊柩車 ●利用ソシャゲ:へプバン・ギアスロススト・Dr.STバトクラ・シンフォギアXD・スパロボDD・うたわれLF・ギター少女・勇者の飯 ●経歴:宮城出身、30代、なろう出版経験有 ●現在:脳梗塞療養にともないリハビリ&失業中

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