「愛しのアクアリウム」~第七話~

第七章 「キュンキュン♡体育祭」

5月の土曜日の朝。浜風が吹き、空を照らす太陽の光がが運動会の始まりの鐘を鳴らす。茉莉華はベッドから起き、窓を開けて浜風を感じていた。
「うーん!今日も浜風が気持ちいいな!今日は体育祭!頑張るぞ!」と背伸びをして張り切って階段を下りた。
「あら、茉莉華ちゃん!おはよう。今日は体育祭だから、いっぱい力付けないとね!今日は朝から唐揚げ作ったわよ!」と叔母さんもご機嫌に朝食を作った。茉莉華とノエルの学校が体育祭なこともあり、体力をつけるため、朝に食べたらカロリーが高そうな唐揚げを大量に作ったのだ。茉莉華が嬉しそうに食べようとすると、横から人間になったノエルが唐揚げをつまみ食いしていた。
「唐揚げちょっともらうぜ~。」と言ってノエルは唐揚げを素手で掴んで口の中に入れてぱくっと食べた。
「の、ノエル⁉いつの間に⁉・・・ってか、食べたいなら、座って食べてよ‼」と茉莉華は注意するも、ノエルは小学生の男子みたいにはしゃいでふざけまくった。
「ははは。ノエルもすっかり茉莉華ちゃんに懐いたな。」
「ふふふ。将来が楽しみね♡」

ー学校ー
茉莉華とノエルの学校は運動会当日の日。生徒や保護者、町内会の関係者など色んな人が来ていてとても賑やかになっていた。
「いよいよ運動会が始まるな・・・・。」
「うん・・・!凄くドキドキしてる・・・・!」茉莉華とノエルは緊張しながらもわくわくしていた。すると後ろから李衣紗と久彦、智香が走ってきた。
「ちーっす!ノエル、茉莉華!おっはー!!」李衣紗はいつもよりテンション高めだった。
「おっはー!李衣紗ちゃん!智香ちゃん!久彦君!」

「よぉ!3人揃ってお前ら元気だな~!」とノエルも話した。智香も久彦も気合いが入っているようだ。茉莉華も気合い満タンでそわそわしている。
「今日は3組、精一杯頑張ろうね!!」
「おー!」と茉莉華とノエルと智香と久彦と李衣紗ははりきってこぶしを上に挙げた。そして茉莉華達は自分の席に戻り座った。いよいよ体育祭開始の合図が鳴る。
<これから、千葉市立東の海中高一貫校の第26回、体育祭を始めます。開会式がこれから始まりますので、生徒の皆さんは並んでください。>放送が終わると生徒全員は門の前に集まり列に並んで入場を待っていた。みんな凛々しく真剣だ。茉莉華もノエルも気合いが入っている。
そして入場し開会式が始まり、選手宣誓、ラジオ体操、校長の話などがあった。開会式も終わり、いよいよ生徒による競技の始まりとなった。
クラスごとに一致団結になって円陣をやった。鉢巻も気合いが入るように締まり、女子はファッション雑誌で見たようなアレンジをしていた。
茉莉華のクラスも先生も混ざって円陣をしていた。掛け声は久彦が担当だ。
「3組の本気の力、見せてやるぞー!!!!!!!!!!」
「おー!!!!!!!!」と茉莉華とノエルのいる3組は、久彦の円陣の掛け声で気合いが満タンに入った。
まずは中学1年と高校1年の徒競走の競技だった。1番目に走る生徒達は位置について先生の鉄砲の合図を待っていた。そこには、ノエルが緊張しながら立っていた。ノエルは3組の中で走るのが早いってことで、第一走者目になったらしい。ノエルが自信をもって頑張れるように茉莉華と3組のみんな、和也叔父さんや叔母さん、祖母であるトワが大きい声で応援した。
「位置について!」と若い男性の先生が鉄砲を持ちながら大声で言った。いよいよ徒競走の始まりだ。最初に走る生徒もしゃがんで構えた。

「よーいっー・・・・・・!」ーパーン!!ーとスタートの合図の銃声が鳴り、ノエルや他の第一走者の生徒は全力で白いラインを駆けだした。生徒や保護者の声援が街に響き渡る。
「頑張れー!!!」
「ノエル頑張ってー!!!!」と3組の生徒や和也叔父さん一家、茉莉華も大きな声で徒競走のスタートを全力で走るノエルを応援した。
他の学年の人も一番になろうと必死に走っていたが、ノエルはダントツに速かった。そう。まるで獲物を捕るかのように。
「ノエル早っ⁉」
「猛獣かのように脚が速すぎる・・・・・!」と3組とその他のクラスもノエルの脚に速さに噂をしていた。その後も次々と生徒が走り、茉莉華も出番が来て全力で走った。ノエルもクラスメイトも和也叔父さん一家も「頑張れ」と応援した。そして徒競走も終わりを迎え、徒競走の勝者は、茉莉華とノエルのクラスである中学部1年3組だった。3組全員で勝利を喜んだ。
「やったぁっ・・・・!中学部1年の中で1位だぁぁっ!」茉莉華はノエルや智香達を抱きしめながら喜んでいた。
「そうだな!でも、まだ競技はあるから、精一杯最後まで頑張ろうぜ!」ノエルや智香、久彦、李衣紗もテンション爆上がりで喜んでいた。
「うんうん!3組の力、見せつけようね!」
「うちらの絆は永遠だからね!」
「最後まで楽しもう!!」その後も競技が続き、力を出し切りながら学年ごとの競技やリレーを頑張った。あっという間に午前の部は終わりを迎え、昼の時間になった。生徒のみんなは敷物を敷いて、友達を誘いながら楽しんで食べていた。
茉莉華とノエルも智香達を誘って一緒にお弁当を食べた。
「う~ん!この唐揚げめっちゃうまいな!!」
「ノエル、食べるの早すぎ!」
「ふふふっ。ノエル君凄い元気ね♡」
「何かまるで子供の頃の久彦みたいだなw給食のおかわりのためにドカ食いするところww」
「おい!俺はノエルより食いしん坊じゃないぞ!・・・・ってか、子供の頃の話はやめろ!!」久彦は李衣紗に自分の子供の頃の話をされて恥ずかしがっていた。
「久彦君、まるでノエルみたいだねwwww」
「お前も食いしん坊だなwwww」
「小学生の頃の久彦君、かなりの食い意地はってたからねwwww」
「智香まで・・・・、う、うるせぇっ!」と楽しく笑いながら昼食の時間を過ごした。

そして時間は午後になり、部活対抗リレーや借り物競争などのユニークな競技が始まった。部活対抗リレーでは、茉莉華とノエルは水泳部だったので、プールで使うビート版を持ちながら泳いだふりをしてコースを走った。智香は吹奏楽部、李衣紗は卓球部、久彦は剣道部なので、自分のいる部活のアイテムを持ちながら走っていた。
それぞれの部活の個性があふれる部活対抗リレーが終わり、いよいよ最後の競技となった。
<最後の競技は借り物競争です。参加する選手の方は前に出てきてコースごとの列に並んでください。>と借り物競争の開始のアナウンスが鳴る。参加する選手がアナウンスの指示に従い、自分の走るコースに並んだ。茉莉華も参加するため、決められたコースに並んだ。
「借り物競争か~・・・・。お題が好きな人とかだったらどうしよ~!」と茉莉華はドキドキしていた。緊張していると、「ピーッ!」と合図の笛を先生が鳴らし、茉莉華も他の選手も必要な机にあがっている借り物が書いてある紙に向かって走り始めた。紙があがっている机に着き、選手や茉莉華は必要な借り物をメモを開いて確認した。
「私の借り物はいったい何だろうっ・・・・・・。・・・って、えぇっ⁉好きな人ぉぉぉぉぉっ⁉」とメモに書かれてる「好きな人」のお題に茉莉華はびっくりした。
「・・・・、でも動揺してる場合じゃないよね!ノエルが好きということをみんなに知られるのは恥ずかしいけど、お題だから仕方ないよね!」と言って茉莉華はクラスの席からノエルを見つけ、手を繋ぎながら走った。手を繋がれたノエルも驚き動揺しながら走っていた。
「お、おい!急に俺に手を繋いできて、どうしたんだよ⁉」
「借り物競争のお題が好きな人だったからノエルを連れていきたかったの。さ、ゴールまで一緒に行くよ!!」
「・・・・。茉莉華・・・・!」ノエルは少し照れていた。

茉莉華とノエルが走ると中学部の1年生のクラス全員から「ヒューヒュー!!」と冷やかしているかのような応援が響いた。
「よっ!中学部1年の有名カップル!!」
「茉莉華ちゃん!ノエル君!!とってもお似合いだね~!!」とクラスは大盛り上がりだ。茉莉華とノエルはみんなの応援を受け止めながら、ゴールに向かい、1番のゴールテープを切った。
<ゴール!茉莉華さんとノエルさんのカップルコンビが1番にゴールテープを切りました!二人共息ピッタリの速足コンビです・・・!>アナウンスも少しテンションが上がっていた。
「はぁっ・・・・。はぁっ・・・・・。めっちゃ緊張した~・・・・。よりによって、借り物のお題が、「好きな人」とは・・・・・。」
「ハハハ、いいじゃないか。茉莉華と俺が付き合っているということをみんなの前で見られながら走るのは恥ずかしかったけど、最高だった!!」ノエルは恥ずかしながらもニコッとはにかんで笑顔になっていた。
「ねぇ、茉莉華。もしかして、借り物競争のお題って・・・・・・。」
「うん!「好きな人」だったよ。」
「茉莉華っち、やるぅ~っ!」
「お前らお似合いカップルだったぜ☆」と競技終了後もクラスメイトや友達と盛り上がった。
そしてすべての競技が終わり、閉会式となった。茉莉華とノエルにとって新しい環境での運動会は最高の思い出となった。茉莉華とノエルの学校が楽しかった運動会のことで盛り上がってる中、校門前に、二人の夫婦が姿を見せた。
「茉莉華の奴、相変わらずのうのうと頭も成績を悪いままヘラヘラと過ごしているんだな。」
「茉莉華は今、学校に通いながらも、水族館で飼育員として働いて手伝って稼いでいるみたいね。また一緒に茉莉華と家族になって、茉莉華からお金をがっぽり貰いましょっww」
「ああ、そうだなww」と茉莉華の実の両親と見られる夫婦二人は不敵な笑みを浮かべながら校門の前から姿を消した。その様子に、茉莉華は後ろを振り向き、こっそり姿を見せて消えた実の両親を見ていた。
「今、一瞬・・・・、私の実の親が来ていたような・・・・・。」
「そう・・・なのか・・・・?まぁ、気のせいだろ。」茉莉華は不安な様子になっていた。茉莉華の里親の和也叔父さんも睨みながら茉莉華の実の両親を見ていた。
「おのれ・・・!里美と渡め・・・・・!!茉莉華が苦しんでいるのに笑顔でのうのうと学校の前に姿を見せたな・・・!!」

-続くー

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ましゅまろまかろん

アニメやゲーム、歴史などが大好きです!歴史は特に戦国時代が大好きです! 特技は絵を描くことと、卓球です。漫画やイラストなど、将来のために色々頑張ります!

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