#32 「憎悪」
女王・ミアンの出した作戦はこうだ。
門外にいる男を警備員が拘束している間、
トランシーバーで警備員と姫・ルージャが連絡をとり・・・
男にトランシーバーを貸して交渉する。
直接会うのは危険だと察知した女王の身構えである・・・
まず、ワタクシがトランシーバーの
音声をチェックするのじゃ・・
警備員の声が聞こえたらルーちゃんに
トランシーバー(コレ)を渡す
良いな??
はい・・・・
おそらく、相手は・・・
あなたたちを捨てた男じゃ・・・
心の準備は・・大丈夫かのう?
・・・・・・私・・・・顔も何もかも・・・・
覚えてない・・・し・・・
記憶にないのだけれど・・・・
あの男が、私たち2人を捨てないでいてくれたら・・・
こんな貧困生活は繰り返してなかった・・・・
その恨みはあるわ・・・それに・・・・・
私たちの産みの親が亡くなってから
家を急に出て行って・・・
今更会いに来られても・・・・
なんて言えばいいのかわからない・・・・
本人を前にしなければ
こんなに・・・・・
思ったこと・・・・・言えるのに・・・・・・
私・・・・・・まだ、怖い・・・・
ルージャは、胸の内を明かした。直接、会うわけではないが
かつて、自分たちを捨てた男・・・・
本来なら・・・話したくもない相手・・・・・
そうじゃな・・・。
私も、決してあの男を許したわけじゃない・・・・
じゃが・・・・あの男はルーちゃんの声を聞けば・・
今日は帰ってくれると思うのじゃ・・・
それでも問題を起こすような卑劣なやつであれば
私も適切な対応をする・・・
安心してくれて良い・・・・・
ミアン女王は、トランシーバーにスイッチを入れて
警備員の声が聞こえるか確認した。
すると警備員も“女王様の声聞こえます”と答えた・・・
そう答えたあと、警備員はトランシーバーを男に渡した。
ミアンも、ルージャにトランシーバーを渡す
2人は、無言で頷く・・・・
ルージャか??おい・・・返事してくれよ!!
私は・・・・・・あなたのことを知りません。
何を言ってるんだ!!お前の父親だぞ?!
なんで、そんなことを言う??
私にお父さんはいません・・・・・
なんだって??
天国のグリシャも泣いているぞ!!
私のお母さんは、
私と生まれたばかりの妹に愛情を注いでくれた・・・・・
けれども・・・一緒にいた時間はたったの2年・・・
あなたは・・・・・
お母さんが、亡くなったあと私たちを置き去りにしました。
そのときから、あなたは父親ではありません・・・
帰って・・・・・!!
これ以上、私の幸せを壊さないで!!
ルージャが一番、言いたいことを叫ぶと女王がトランシーバーを持ち
ルージャの代わりに男と話す。
ワタクシは、この国の女王・・ミアン・トゥルーダ
ココは、あなたのような賊が来る場所ではありません。
直ちに、ココを去りなさい・・・・
去らなければ、
あなたが今後一切我が国に訪ねることなど禁じ
我が国を出禁にします。
女王から、下った判決に納得がいかなかったのか
トランシーバーを落とし暴れまくる
警備員に雑な扱いをされ出禁になった元・父は出禁になった証明の
真っ赤な無地な服を着させられ城から遠い場所に送り届けられた。
トントンッ
青海輝は、騒動の一件と伝書の内容を国王に伝えに行った。
父さん、いま宜しいですか?
うむ。入れ・・・
失礼します・・・
先ほどまで、騒がしかったな・・・何か知っておるか?
はい・・・その件に関してと・・
こちらの伝書を父さんに見ていただきたく・・・
参りました・・・
そうか・・・
国王は、輝から受け取った伝書を見て開眼し驚く
自分の息子が盗賊と縁があったこと・・・・
そして、だいぶ仲がいい事・・・
喰斑というのは・・・・聞いたことがある。
そやつらが・・・・・ここ(ギリパナ国)に近づいて来ているんだな?
はい・・・・。
親友の話によると、喰斑は人殺しで盗賊のようです・・・
そこで・・・・父さんにお願いがございます・・・・
よかろう・・・申せ・・・・
俺の親友・・・・
深沢大知を俺の用心棒として雇いたいのです・・・
つづく