#1 「目の見えない男の子」
ドンドンドンドン
あぁ・・・・今日も聞こえてくる、大きな足音・・・・
俺を起こしに来たんだ・・・・・
ちょっとーーーいつまで、寝てるのよー!起きなさい!
庵・・・今日も来てくれたんだね・・・・
当然よ、だってアンタ目が見えないんだから・・・・
そう、俺は生まれつき目が見えない
生まれた時から両目が失明していて周りの景色が見えない
起きれる?
うん・・・・
ほら、手使いなさいよ・・・・・
ありがとう・・・・
俺は、庵に手を引かれながら1階のリビングまで連れていってもらう。
両親の声が聞こえてくる
庵ちゃん、今日もありがとうねー。
朝食食べてって!
三佳音さん・・・ありがとうございます。
今日から、テスト週間らしいわね?頑張ってちょうだいな!
はい!!
気合いれて、頑張りたいと思います!!
あ、もう時間だ!!もう行きますね!!
気をつけてね~
あの子、自分の家から遠いのに
いつもこの家まで志狼を起こしに来てくれるよな
ええ・・・すごくいい子よ・・・
あの子の負担になるようなら、
オレが志狼を今度から起こしに行こうか?
そうねぇ・・・
そのほうがいいかもね・・・
母さん・・・・父さん・・・
すまんな、志狼・・・
父さんの今日のニュース、遅れてしまったな・・・
今日のニュースはなぁ・・・・
お前の好きな野球選手が結婚されたようだ
ホント?!めでたいね!!!!
俺は、目が見えない
だから、日常生活では音を頼りに生活している。
1番辛いのは、食事の時間だ・・・・・・・
箸や食器がどこに置いてあるのかわからない・・・
視力がないから、手探りで見つけての繰り返し
TVの情報などにも疎い俺は、毎日TV1ニュースと父さんによる
新聞の読み聞かせをしてもらっている。
今日のニュースは、俺が小さい頃から応援していた野球選手が結婚した!!
ええ、そうね・・・おめでたいわね!!
じゃあ父さん仕事に行ってくるよ!
行ってらっしゃい
行ってらっしゃい、父さん・・・
父さんは、新聞の読み聞かせが終わると出勤する
そして家には俺と母さんだけになる。
志狼―、夕ご飯なにが食べたい?
すき焼き・・・・かな・・・?
すき焼きね!!
ちょうど、たまごもあるし、そうしましょう!!
母さんは、食器を下げたあと・・・TVをつけた!!
そうして今日のTV1ニュースが流れた
≪つづいての、ニュースは昨年日本中を騒がせたデング熱!!
なんと・・・ヒトスジシマカが急増中とのこと
皆さん、出かける際はお気を付けください。≫
あら~怖いわねぇ・・・
ヒトスジシマカ・・・
特にO型の人は刺されやすいって噂よ・・・
志狼O型だから気をつけなさいね・・・
大丈夫だよ・・・・
母さん、俺外に出ないから・・・・
・・・・・たまには、外の空気を吸うことも大事よ・・・
怖いんだ・・・外の世界が・・・
そうね・・・・・
外に出られるといいわね・・・・
ニュースが終わると、志狼は手すりを使って2階へ
そのとき山路家のインターフォンが鳴った。
はぃ~い・・ちょっと待ってください~
志狼~まだ部屋に着いてなら出てくれない??
うん・・・
ようやく階段を半分のぼりきったところで、Uターンし
玄関先へゆっくり向かう
え・・・と、鍵を外して・・・・
鍵どこだったかな・・・ここか・・・
はい・・・
初めまして・・・・
隣に引っ越してきた、霞ヶ崎小恋です。
コレ・・・お近づきの印・・・・
あ・・・ども・・・・
スカッ
もらったものがどこにあるのか分からない志狼は
あれ?と言う。そしてその行動を見た隣人は
あなた、まだ目が見えないの?
つづく