ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
心の中でずっと謝っている。
それでも時間は巻き戻ったりしない。
やり直す事なんて、できない。
だからわたしは進むのだ。
あなたを見つけ出して、傷付けた事を謝るために。
許してもらえないかもしれない。
それでもいい。わたしはそれだけの事を言ったのだから。
だから、これはわたしの自己満足に過ぎない。
あなたに直接会って謝りたいというわたし自身のエゴのために、わたしは進むのだ────
葉月は目を覚ました。
「・・・・」
体に痛みはない。お守りのおかげで受けたダメージはあらかた回復している。
葉月は樹に背を預けた状態のまま、大きくため息を吐いた。
(やってくれたな、あの卵・・・)
見れば葉月がいる地点から数十メートル先がなぜか明るい。
(周辺の樹々が倒れて・・・日差しが届いている・・・?)
だんだん意識がはっきりしてきた。すると聞こえてくる音がある。
何か固いものが猛スピードで樹に激突し、その樹が折れて倒れていく音。それが間隔を置いて断続的に続いている。
「あははははははほらほらほらほら!!避けないと全身の骨がへし折れるぞ!!」
「くっ・・・!」
ハンプティ・ダンプティが自ら高速回転しながらピンボールのように周辺のあちらこちらへ突撃していっているのを、シロウサギが巻き込まれないように逃げ回っていた。
「・・・あー」
確かにアレは一撃まともに受けたら致命傷になるやつだろう。
シロウサギはよく避けているが、彼の体力は無尽蔵ではない。それ故に彼と初めて会った時、彼は弱りきって傷だらけだったのだ。
「はー、よっこいしょっと」
葉月はゆっくりと立ち上がり、肩をぐるぐると回した。────よし、異常なし。
そうして予備動作なしで地を蹴り、その場から弾丸のように跳び出した。
つづく