#5 「生滅危機のカラダ」
三佳音さーーん、大丈夫ですか??
平気よーー。あなたたちはーー?
志狼がかすり傷を負いました。
まぁ、それは大変!!早く降りてきなさい!!
はーーい
庵に手を引かれて、リビングに降りる。いつもと変わらない母さんの声
顔は見えないけど…その手は俺の頬に触れ・・・とても暖かいものを感じた。
無事で・・・・よかったわ・・・
父さんは・・・?
それが・・・・・
まだ、連絡がつかないの。
あの人が働いている会社はビルの中だから・・・
揺れが強いと思うのだけど・・・・
俺が・・・・行く!!!
え・・・?
父さんの会社まで、行く!!!
遠いわよ?1人で平気なの??
大丈夫だ!お金はあるから!!
リビングに置いてある鞄、その中身は鍵と財布など貴重品が入ってある。
それを手探り状態で背負い志狼は初めて自分から外に出た。
その様子を逞しいと誇りに思い三佳音は感動で涙を流す
外に・・・出れるようになったのね・・・・
外に出た、志狼は電信柱にぶつかって頭を抱えていた。
家を出てまだ5分・・・。
いまなら、家に戻ることができるかもしれない・・・・
志狼は諦めず父親のいるところに1人で向かおうとしていたが・・・
横から声をかけられる………………
・・・・・志狼・・・・・??
その声は・・・・隣の家の・・・
小恋よ!!
そうか・・・小恋・・・。
こんなところで何をしているんだ・・・・??
買い物よ・・・。
さっきの地震で、破損したものがあって・・・・
大変・・・なんだな・・・
あなたは、何をしに外へ・・・・?
父さんの会社に・・・・
その言葉を聞いた、小恋はすべてを察した。
身体が不自由な志狼を放って1人で行かせる訳にもいかず
一緒についていくことになった。
買い物するお店も、ちょうど近くだから会社まで一緒に行ってあげるわ
いいのか・・・?
ええ・・・今みたいに、頭ぶつけられたりされたら面倒だもの
恩に着るよ・・・
手を取り、繋ぎ小恋は志狼の目になってナビゲーター
バスに乗り優先席に座る。
窓の景色は、志狼には見えないが
彼の頭には父親の安否確認と連れて帰ってくること・・・・・。
それ以外ないので話しかけるチャンスが小恋には、なかった。
目的地の場所で降りると、あるいてすぐ近くに大きなビルがあった
このビルに、志狼のお父さんがいるの??
名前はわからないけど、会社の名前が長くて
20階建ての大きなビルって聞いたことがある・・・
確かに名前、長いわね・・・。
これじゃ覚えきれないわ・・・・・
20階っていうのも間違いないから、
ここのビルで合ってるわね
小恋は、何度も見ているこの景色のなかで
20階建てのビルはこの日初めて見た。
ここが、志狼のお父さんがいる会社・・・。
覚えておかなくちゃ……………
小恋ありがとう、ここからは1人で行くよ。
あ、あの・・・
エレベーターに乗るだけだから、
大丈っ・・・・・・
志狼に話しておかなきゃいけないことがある。
・・・・・悪いけど、いまは父さんの安否確認が先だ。
それが終わったらいつでも聞くから
この世界が滅びてしまってもいいの・・・・・?
それは脅しかい・・・・・?
いいえ、あなたと・・
あなたの身に関することなの。
周りの人間に、喧嘩?とジロジロ見られていることを耳がいい志狼は察した。
父親の安否と世界が滅びる・・・。
天秤が微動だにしない状況下で場所を変えて話を聞くことにした。
いらっしゃいませー♪
こんにちは・・・
あら、志狼くん・・・1人で来たの?
偉いわ!!でも
あなた目が見えないんだから・・・・。
あら、そちらの方は??
初めまして・・・2日前、隣に引っ越してきたものです
そうなのね!!
じゃあ、あなたがここまで志狼君を連れてきてくれたんだ・・・
ありがとう・・・・。
話していくんでしょ?
いつもの席に案内するから、2人ともきて
志狼のことをよく知る理解者、お店の店員は2人をVIPルームに案内した。
椅子に座ったあと小恋は閉じていた口を開ける。
最近、地震が全世界にあったことは知ってるわよね?
ああ。
さっき、私はあなたに
【この世界が滅びても】
と言ったことを覚えてる?
ああ。
あの地震は、あなたが引き起こしたものなのよ・・
そ、そんな・・・バカな・・・
ウソじゃないわ。
なんなら、地震が起きる前の映像を見せてもいい。
根拠はあるのか?
あるわ!!
あなたのカラダには、デリートっていう石が埋め込まれている。
その石の存在はあなたの両親は知っている。
失明しているのも、その石が原因よ・・・
石・・・・・
そんなものが俺のカラダに・・・・
その石を取り除かれる手術を行い成功するまで、
私はあなたをサポートするよう命令されてきたの
そう・・・・だったのか・・・・
あなたのカラダは、
ちょっとでも怪我をしたり傷つけられると
この前のように異常気象現象を引き起こす
生滅危機のカラダなの・・・
俺は、自分のカラダについて
初めて聞かされた。
その話に興味深々だった・・・
つづく