
ミャウカフェ開店までのお話です。
一匹の猫が、寿命を迎えて虹の橋を渡り天国に行きました。
──神様がその猫の新しい毛皮を選んでいる最中にお願いをしました。
『──神様。ぼくの毛皮を選ぶのを少し待っていただけませんか?』
神様は『彼』の真剣なお願いが気になり、話を聞くことにしました。
『……あの子にもう一度会いたいのです』
──どうやら『彼』は心残りがあったらしい。
要約すると、「お世話になったあの子に言葉を届けたい」と。
神様はとても困惑しました。
神様はしばらく考えた後、橋を渡ってきた猫達に話を聞きました。
『わたしは急なお別れだったから、あの子とお話がしたい』
『僕たちがいなくなってから、笑わなくなったあの子にまた笑ってほしい』
心残りがあった猫たちは、神様にお話をしました。
『──でもどうやってあの子を笑顔にしよう?』
『ネズミとかどう?声をあげるくらいうれしそうだったけど?』
『……どちらかというと悲鳴じゃないかな?』
『──そういえば、おいしいものを食べているあの子はすごく笑顔だったよ?』
『確かにネコカンおいしかった……』
『えーっ⁈……ぼくはカリカリが好き』
『わたしはカリカリもネコカンも好きよ。でもやっぱりちゅるるが一番よ』
『『『それだっ』』』
『ちゅるるってなに?』
『えっ?ちゅるるを知らないの?あれはトクベツな日に食べるおやつよ』
──猫たちが『あの子』を笑顔にしたいとそれぞれ話していましたが、
いつしか話題は【ちゅるる】の事になっているようです。
『トクベツなおやつ……そうだ!お店をやるなんてどうかな?』
一匹の猫がお店の提案をしました。
話の風向きが大きく変わる一言となったようです。