第五話 「翔と斗真」
「ここが、グローバルドリーム学園か・・・・。ここから俺のまた新しい青春が楽しめるんだ・・・・・・。」と新しい制服に身を包み、グローバルドリーム学園の風景を眺めながら言った。すると後ろから奈々が走って登校してきた。
「おはようございます!翔さん!今日から同じ生徒ですね!」
「おう、おはよう奈々。朝から随分元気だな。よろしくな。これからは、同じ1年生として過ごすから、敬語じゃなくてもいいぞ。」翔も奈々に挨拶した。
「・・・・・!じゃあ、翔君、よろしくね。こちらこそ!」
「うん・・・・。(改めて呼ばれると、ちょっと照れるな・・。)」と二人で話している時、間から青緑と黄色のメッシュカラーで飄々とした雰囲気のような糸目な青年が声を掛けてきた。
「おっはよー!奈々ちゃん!・・・・っと、翔じゃん!久しぶりじゃん!今日からもしかしてここに転校するの⁉」どうやらこの青年は、翔の知り合いらしい。久々に翔に会えて嬉しそうな顔をしていた。

「と、斗真⁉久しぶりだな!まさか、こんなとこで会えるなんてな・・・・!偶然もすごい所だ。」
「翔も制服に合ってんじゃん☆これからも青春一緒に送ろうぜ☆」と翔と斗真は、話していた。奈々も翔が斗真と親友だったことに、少し驚いていた。
「あの、二人はいつから知り合いなの?」奈々が二人の中に割り込み、質問する。翔と斗真は、奈々の質問に歩きながら答えた。
「翔とはね⋯、赤ちゃんの頃から知り合いなんだっ♪お互い近所だったからね。ねっ、翔。」
「ああ、そうだな。いつの間にか斗真とは知り合いになって友達になったもんな。悪戯したり、公園で遊んだりな。」「うんうん。あの時がすっごい懐かしいなぁ〜。後、僕も翔と同じ不良グループの一員だったしね。」と斗真は、奈々に翔と同じ不良グループだったことを喋ると奈々は大声を出してびっくりした。
「えっ・・・・・、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ⁉」
周りは奈々の大声で驚き、視線もこちらを見ている。
「お前なっ・・・・・・。」
「この事、内緒にしてくれるかな?奈々ちゃん・・・。」と斗真も翔も驚いて苦笑いしていた。
「うん、分かった。大声出してしまってごめん・・・・・。3人だけの秘密にするね。」と二人に謝って学校へと登校した。周りを見渡すと、男女の生徒全員が翔達の方を見ていた。噂話も聞こえる。見られている翔も緊張しすぎて、周りをチラチラと見ていた。
「ねぇ、あの人どっかで見たことあるような・・・・・。」
「あれだよ!元ヤクザで探偵の奇薔薇浩一の息子さんじゃない?」
「確か、不良少年だったような・・・・。何でうちの学校に・・・⁉制服も着ているし、転校してきたのかな・・・。」視線も凄く、翔は必死に顔を逸らしていた。
(不良少年で悪かったなっ・・・。早く校内に入ろう・・・・。)

そして校内に入り、翔は二人と別れて玄関で待っていた先生と校長室へ向かった。
「初めまして。翔君。グローバルドリーム学園へようこそ。私はこの学校の校長の四月一日仁志だ。エイプリルフールの日にちと書いて、わたぬきだ。よろしく。」
「僕は一年一組の担任、羽田渡瀬だ。よろしくね。今日から君は一年一組と生徒として1年間生活する。」と先生が一人ずつ自己紹介をした。翔も自己紹介をした。
「初めまして。奇薔薇翔です。先生方、これからもよろしくお願いします。」不良にしては礼儀正しいので、先生や校長先生は驚いていた。
「何と、礼儀正しい・・・・!」
「元ヤクザの息子と聞いたことがあるが、不良少年にしては礼儀正しいな・・・!君をこれからも三年間サポートし続けるからね!」と校長先生は翔と握手をした。
「それじゃあ、奇薔薇さん。教室に行きましょうか。1年生の教室は3階だ。階段に気を付けてついて来て。」
「はい。」と翔は先生の指示に従って階段を上り、奈々と斗真のいる1年生の教室へと向かった。翔は内心少し緊張していた。一方その頃奈々と斗真のクラスは、転校生の翔のことで噂になっていた。
「ねぇ、見た?カッコいい金髪のイケメンの男の子。」
「あ~見た見た!でも、見た目少し不良っぽいよね。」
「そういえば、奈々と斗真と一緒に歩いていたな。」
「確かそいつ、元ヤクザの浩一の息子だよな。今は、探偵として務めているって聞いたことある。」教室の目の前に立って待っている翔は少し困惑している。
(あ~・・・・・。不良で悪かったな・・・・・・。)すると、翔の様子を見ていた先生が手をパンパンと叩きながら、生徒達を静かにさせるよう注意をした。
「はいはいみんな静かに!これから、このクラスに転校してくる転校生を紹介する。転校生、入っていいぞ。」と先生が言うと翔は教室のドアを開けて中に入っていく。
「はい。」奈々も斗真もみんなも、口をポカンと開けて驚いていた。女子は翔がイケメンなことに少しテンションが上がっていた。
「初めまして。坂野ヶ丘高校から転校してきました。奇薔薇翔です。学生ながらも実家の探偵仕事を手伝っています。好きな食べ物は牛タンです。よろしくお願いします。」と黒板に名前を書きながら翔は自己紹介をする。視線を翔に向けて、みんなも真剣に聞き、拍手をした。
「はい。翔、自己紹介ありがとうね。見た目は不良そうに見えるが、礼儀正しく優しいから、虐めないで仲良くしてやってくれ。」
「はい!」
「翔の席は、窓際の一番後ろの斗真の席の隣の席に座ってくれ。」と先生が言うと翔は自分の席に座った。すると、隣の席の斗真が翔にコソッと話しかける。
「よろしくね。翔。」
「おう。ってか、お前と一緒の席になるの中学生以来だな・・。」
「確かに」喋りながらも授業は進む。1時限目は数学だ。翔は全教科得意なため真剣に聞いていたが、斗真は寝ていた。
「おい、斗真授業中だぞ・・!当てられたらどうすんだよ。」
「へへへ、ごめん☆でも、授業はちゃんと聞いてるから大丈夫☆」と授業中ながら寝てても、斗真はヘラヘラと平気な顔で翔に言った。
「・・・・・・・。」

ー昼休みー
時間は4時限目も過ぎて昼になり、斗真と奈々は翔をが食堂に案内して席に座り一緒に昼を食べた。翔も始めは広さやメニューの豊富さに驚いていたが、楽しく食べることができた。
「ところで、最近気になることがあってさ~・・・・、聞いてくれる?」と奈々が斗真と翔に喋る。
「?」
「何々?」
「この学校5階まであるんですけど、その5階が空き教室だらけの所で立ち入り禁止エリアの所なんです。私、この間そこのエリアに用事があって空き教室に入ったら、1枚の紙が落ちてたんです。」と奈々は立ち入り禁止エリアの空き教室に落ちてあった紙を二人に見せる。その紙には、新聞紙から切り取られた字がセロハンテープで張り付けてある。そこには、「この学園に代々伝わる古代の秘宝、月夜を照らす願い石は私が頂いた。これは、探偵部である君らへの果たし状だ。」と書かれていた。
「・・・・・・!月夜を照らす願い石・・・・・・⁉」
「この学園に代々伝わる伝説のお宝が、盗まれてる⁉」

ー続くー