怪物の友達と協力プレイ

 僕は友達の家の玄関のドアの前でインターホンを押した。玄関のドアから
全身黄色で狐の様な耳、ワニの様に口から牙がはみ出ている友達が
出迎えてくれた。「おう、早くやろぜ。」友達は急かす様に言った。僕は玄関で
靴を脱ぎ、家へ上がり、友達と一緒にリビングに向かいお互いにソファへ
尻もちをつく様に座った。僕は背負ってきたリュックからエナジードリンクを
4本と一台の携帯用ゲーム機を取り出し、2本のエナジードリンクを友達に
あげて僕と友達はそれぞれもっているゲーム機の電源を入れた。「ありがとな。」
 友達がお礼を言った。

 「今日はありがとな。ポイズンドラゴンが倒せなくて。」ポイズンドラゴンとは
モンスターバスケットというゲームに出てくる隠しボスである。
ポイズンドラゴンは多人数プレイ前提の難易度でありソロでは倒すのが物凄く
困難である。彼女は何度もソロで挑戦し、あらゆる手段を使ったがどれも
後一歩という場面で倒せなかった。ゆえに今日はそのポイズンドラゴンの
討伐したいがソロでは倒せないので一緒に倒してほしいという事で僕が呼ばれた
訳だ。「まぁ良いよ。一緒にゲームが出来るんだし。」僕はニヤリと笑った。
 「ほい、じゃあ行くぞ。」友達がステージを選び、僕と友達の操作キャラは
友達が選んだステージに飛ばされた。そして操作キャラ達の目の前には
ポイズンドラゴンの顔あり、そこでゲームスタートした。

 「どういう方法でやる?」僕は友達に問う。「一番生存率が高いヒット&
アウェイで。」友達が答えると友達はポイズンドラゴンに近づき、ボタンの
長押しによる溜め攻撃でポイズンドラゴンの3割を削り、ポイズンドラゴンから
逃げる。「援護は任せて。」こうして僕は自分が装備しているホイホイマントを
使った。ホイホイマントとは敵の注意をひきつけて自分の方へ呼び寄せる
武器だ。これだけ聞けば使い道はあるのかと思うかもしれないが一応は火力こそ
強いわけではないものの攻撃ができる、自分を含めた味方全員の防御力が20%
上がる、敵の注意をひく事で他のプレイヤーへ攻撃を引き受ける事で生存率を
上げる事が出来るなど利点はない訳ではないものの、使いこなすのは難しい。
 ポイズンドラゴンが僕の操作キャラに向かってきた。友達は再びボタンの
長押しをした。「よし!もういっちょ!」溜め攻撃でポイズンドラゴンの3割を
削り、また逃げる。「あと少し!」僕は興奮しながら言った。

 「もう少しで勝てるんだな。これでトロコンできる。」友達は興奮を抑えながら
言った。僕は自分の操作キャラでペチペチとポイズンドラゴンのHPを2割ほど
削った。「もうボロボロじゃないか、体力を回復しないとヤバくないか?」友達が
僕を心配しながら言った。気が付くと僕の操作キャラのHPは残り約2割ほど
だった。おそらくポイズンドラゴンの毒攻撃を何度も受けた結果こう
なったんだろう。流石にまずいと思い、回復アイテムを使った。僕の操作
キャラのHPは7割まで回復した。回復した後はまたポイズンドラゴンの注意を
ひく。「これで最後だ!」友達の操作キャラが溜め攻撃を食らわせ、ポイズン
ドラゴンのHPを削りきった。

 友達は膝を床につき両手を天高くあげて手を合わせた。「やった・・・。マジで
ありがとう。」友達は涙を浮かべながら僕にお礼を言った。

  • 7
  • 0
  • 0

志乃村 兄主

「しのむら あにぬし」と読みます。 ゴジラ怪獣やゲーム、デュエマと人外に 絵を描くのが好きな寒がりでございます。 人外っていいよね。

作者のページを見る

寄付について

「novalue」は、‟一人ひとりが自分らしく働ける社会”の実現を目指す、
就労継続支援B型事業所manabyCREATORSが運営するWebメディアです。

当メディアの運営は、活動に賛同してくださる寄付者様の協賛によって成り立っており、
広告記事の掲載先をお探しの企業様や寄付者様を随時、募集しております。

寄付についてのご案内