はじめに
妖世界設定、その④です。相変わらずオリジナル設定と伝承が混ざっているのでご注意ください。
今回は、「化け妖」についてです。
化け妖とは
基本的に、何かに「化ける」妖術を使うことに特化した妖。
大きな勢力を持って一か所に総本家を置いているのは狸だけで、それ以外は各地に散り散りになっている。特に化け猫は、数だけなら狸と同じくらいいるが、揃って気ままなので家長ぐらいしか決まらず、それ以上の集団にならない。
種類も豊富で、有名な化け狸、化け猫、化け狐の他、貂(テン)、鼠、猿など、自然に生きている動物の中で妖力を持って生まれたものが多い。ただ、なぜか「化け犬」だけはいない。(妖側曰く、犬は忠実で化かす事に向いていない)
繁殖や妖力だまりから生まれる他、突然変異のように普通の動物が化け妖になることもある。
化け狐と妖狐の違いは、尾がずっと一本か長生きすると増えるかの違い。
化け猫と猫又の違いは、生まれつき妖力を持っているか20余年生きて妖力を得たかの違い。
近しいものを感じるからなのか、化け狐は妖狐の妖域に多く住み着いており、化け猫と猫又は一緒に住んでいることが多い。
人に化けて生活しているものが多く、その場合せいぜい三世代の家族単位になる。
妖としての仕事ではなく、人と同じ仕事をして生計をたてているものもいて、現代によく馴染んでいる。
寿命は長くて三百年ほど。短いと百二十年くらいのものもいるため、妖と周りに言わずに暮らしている事もある。

化け猫は人より猫に近しいものを感じるため、家で何匹も面倒を見ていたり、保護猫カフェを経営して飼い主を探したりが多い。家の庭が地域猫のたまり場になっていたりもする。
他の化け妖も含め、ある程度動物と意思疎通できるものがいるため、化け妖先生の動物病院は割と人気である。
化け狸
唯一、一大勢力を持っている化け妖が狸である。
古来より山に住み、徐々に数を増やしていった。
妖が人に交じって生活することが増え始める前から、ちょくちょくと人に交じって生きてきた人好きの妖。
体格が丁度その時代の平均より少し高めになることが多く、人懐っこくておおらか、但し大きい音が苦手。
頼りがいがあるのに若干抜けているのがいい塩梅なのか、どの時代でも上手く馴染んできた。
仕事としては、妖力の強いものは術にも長け、戦闘力も中々。
小さい生き物や置物に化けて偵察に回ったり奇襲や罠にかけたりと、能力を生かした戦い方が得意。
また、物の怪除けのお守り、護符など、妖力を込めた道具の生産・販売を請け負う商売もしている。
鬼と同じく健啖家。酒がなにより好きで、強い。
総本家の妖域を作るのが「親方」、隠神刑部狸(いぬがみぎょうぶだぬき)。その下に次期親方候補になる妖力の強い狸、陰陽狸(おんようだぬき)が複数いる。
化け狸は成人の年に一カ月、妖力を高める修行のために山に籠るのが慣例。修業は厳しく命の危険もあるため、途中までで下山するものも多数いる。平均二十日ほど修行できれば合格扱いである。
一カ月修行を完遂できるものは一握りで、そのうちの更にごく僅かのものが陰陽狸として覚醒するといわれている。
陰陽狸になると本名のほかに「明」のつく呼び名が付く。本人の好きな木をつけるため、「桐明」(トウメイ)「楓明」(フウメイ)など。
本拠地となる総本家は現在は高知。以前は愛媛にあったが、諸事情で移動している。
人に化けるのが苦手で、物に化ける事しかできない「豆狸」が多数総本家におり、住処を提供する代わりに家事を請け負っている。
妖術は使えるため、個々の妖域には式もいる。
…ちなみに、なぜか夏でも狸姿は冬毛のままの為、大変もふもふ。暑さに弱い。
おわり
今回は短めです。化け狸については結構オリジナル要素が最初に浮かんだので、それを伝承の話で補完する感じになりました。
狸を描こうと思ったのですが、もふもふ丸々としたの、描きづらい…動物、苦手です。
次回はその他聞いたことのありそうな妖の話をまとめていこうと思います。