今日は友達とフシオ君と一緒に映画を観る日だ。ということで
僕は一足先にポップコーンとドリンクを買い、映画館の入り口で
友達を待っていた。

「おう、待たせたな。」長い耳に狐の様な頭に牙をむき出しの友達が僕と同じく
ポップコーンとドリンクを乗せたプレートを抱えながらやって来た。「悪いな、
ポップコーン店の列がなかなか進まなくて遅れちまった。」「フシオ君は?」
友達に問う。「あいつは遅れて来るから先に席で待っていてくれって
連絡あったぞ。」僕と友達は観たい映画がやるスクリーンへ向かい、僕は自分の
席へ、友達は右隣の席へ座り込んだ直後に映画館でよくあるマナーや
注意事項の映像が流れた。

「正直、映画でこういうマナーとか注意事項とか好き。」「分かる。」友達が
うなずいた。「映画が始まる前にお客さんにマナーを教えると同時に見ていて
楽しい気分を提供しようとする意志を感じる。」友達は続けて言う。「ごめん
遅くなった。」左からフシオ君がやって来た。これで全員で観られる。
フシオ君は友達の左隣の席に座り込んだ。

「お前は何も買ってないのか?」友達がフシオ君に尋ねる。「財布の中身が
無くなりそうだったから買ってない。それよりお前がマスクドライバーが
好きだったなんて意外だったぞ。」今日観る映画友達はマスクドライバーの映画で
タイトルは「マスクドライバーガツ フルコースインベーダー」。
「リアルタイムでガツ観ているからな。映画も観るしかないだろ。」友達が
話していると劇場の明かりは消え、上映する時に鳴るブザーが鳴り、映画が
始まった。
1時間30分後、
エンドロールも流れ終わり、映画は終わり、僕たちは帰る。

「いやぁ面白かった!」フシオ君が腕をのばしながら満足した様に言った。
「いやぁ主人公がいないだけであれほど世界が変わるとは…。」友達はどこか
複雑な顔で感想を述べた。
