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Episode10
胸の奥が熱くなる、まるで何かをはきだしたいような感覚。
脳内で浮かんだ言葉が浮かび刹那、叫ぶ。
「はぁっ!」
僕は口から竜のように青白い炎を吐き出していた。
黒い液体はカチカチに凍りつき動きがとまる。
顔色を青ざめたディミトリが僕の姿をみて悲鳴をあげる。
「ぐあっ!? なぜだ・・・・・・・なぜっ」
隣で、キョンシーの少女とヴァンパイアの好青年がギロリとディミトリを睨む。
今僕はやられたわけではなく、血の力を利用して願いを叶えたんだ。
実は僕には、【思い込みの力】で怪異を呼び出してしまうパワーがあるのを思い出した。
~回想~
「思い込みの力?」
「そうよ。貴方が今まで出会ってきた怪異もそうなのだけれど。波長が合いすぎてついには心理的欲求までもが支配されていたのね」
「つまりどういうことなんだよ」
「まあ、霊子の意思が怪異とシンクロできてしまう超能力に目覚めているってわけ」
以前の事件から僕は違和感を感じまくっていたがリリカにあそこまで言われたくらいだ。
小学生の頃から僕は、女の子らしい服装を着せてもらえず【男】として接してきた。
男子制服のため、あの時は何も感じなかった。
本名で呼ばれることはなかった。
だから例え、怪異が視えていたとしても他人の前では絶対に言わなかった。
「ディミトリ、お前は存在しない家をうみだし沢山の者を迷わせた形跡アリ。僕は今怒ってるんだ」
「なんのつもりだ、ゆな。はやくこの氷を溶かしてくれ」
「なんでもっと早くに気が付かなかったんだろうな。束縛しやがって」
僕はまた、口から青白い炎(彼にとってはドライアイス)を吐き出し黒い液体を凍らせる。
ただ僕が息を吹きかけているだけなのに、ディミトリには毒だった。
「やめろ!やめてくれ!」
「麗華、理久。こいつに地獄を教えてやれ。言いたいことがあるんだろ」
ふたりは何も言わずただうなずく。

なぜなら僕が今彼らを使役しているからだ。
ゆっくりと僕は立ち上がり、玄関前に向かって走り出した。
そして思いっきり。
「おりゃっ!」
五感が優れた僕の脚力でドアを無理やりこじ開ける。
僕は悪魔のような笑みをうかべてディミトリに言い放つ。
「トリックオアトリート、僕のトリートはいかがだったかな」
Epilogue
その後、僕たちは洋館から脱出することができて無事に帰ることができた。
ディミトリは、マヨイガとしての力を失い消滅してしまった。
その頃、麗華と理久が神隠しにあっている人たちを助けていた。
財閥一家や学生など被害者は記憶を失っていたそうだ。
「それじゃあ、お札とロザリオネックレスは返してもらうか」
「えーっ。わたしは気に入ったんだけどなー」
「俺もこれは欲しいな」
すると、僕のスマホに着信音。
「もしもし? 」
通話主の相手は、リリカだ。
しかしその内容に僕は絶句した。
「わかった。今すぐ帰宅する」
だけどアンデッドをそのままにするのもほおってはおけなかった。
僕は、新たな友人ができたと相棒に伝えるために。
「帰るか」
「うん」
「ああ」
きっとあいつらは、嫉妬するだろうけどね。
終幕
