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Episode8
〈一方その頃〉
車の中に乗っている青年と運転している男がいた。
目的地は、森の奥深くにある古城だった。
ここに大事な後輩が捕まっているとの情報を聞き助手席でイライラしている。
彼らはこんな会話をしていたようだ。
「くそっ、なんでアイツが普通に捕まっているんだよ」
「慌てるのも無理はないだろう。いざとなったら乗り込むのが正解だ」
「らしくねえ・・・・・・僕がもうちょっと危機感を持っていればよかった」
「別に貴様のせいではあるまい。・・・・・・には俺と少しお仕事しなくてはいけないからな」
「どうりでアンタの娘が苦労するわけだよ・・・・・・」
これは、娘の命令で向かっているわけではない。
彼女は今、青年と後輩の怪異の面倒を見ているからだ。
悪しき予感を感じた男は、青年を連れて乗り込もうとする作戦を考えていた。
「んで? なんか作戦はあんのかよ」
「怪異の楽園。あの城には邪悪な気を感じる。純粋でピュアな人間なほど活気が良くなる」
「特撮の観すぎかよ・・・・・・要はカチコミ?」
男は、道をさえぎる狼たちを見て睨みつけながら言った。
「間に合えば、奴らを黙らせる」
こんなハードボイルドな男ほど運転が似合うのを見て悔しくなった彼女は悲鳴をあげた。
ブレーキとともにその悲鳴はかき消されていった。

水滴の音が部屋中に響き渡る。
私はゆっくり目を覚ました。
数多の鎖に繋がれ動けない。
「今のは・・・・・・夢なの?」
部屋を見ると研究室だ。
薬品の匂いに、窓から差し込む黄昏の光。
おかしいな、さっきまで寝室にいて下半身が蛇の男性と話をしていたはず。
目の前に何か違和感を感じる。
豹変している、レオ・ジェイルだった。

「噓でしょ・・・・・・」
「まんまと引っかかったお前が悪いんだ。そのまま寝ていればよかったのに」
ようやく私は違和感に気づいた。
今までの出来事は全て自分の夢の中の出来事で幸せな気持ちだった。
それなのに今は、恐怖心が抑えられない。
さすがの私でも言葉を失い目の前にいる、レオを疑った。
「まさか全部ウソだったの・・・・・・夢オチ?」
「寝言を言っていたソウマは実に面白かったぞ。いい気味だ」
冷や汗が止まらない。
この人はもう、正気じゃない。
私自身がこの古城に招かれたんだ。
「どうして、こんな。ことを」
「そうだなあ。しいて言うなら【証拠】にふさわしい逸材だろうか」
今の私は、妖魔捜査官。
なのにどうしてこんなふつーに捕まっているの?どこかでミスをしたのか。
「何も思い出せない・・・・・・」
「ソウマ。俺はな、ずっと理解者がほしかったんだ。いつまでもここで生命の研究に没頭してきたのになんの成果も得られなかった! だから、俺はお前を見つけたときに奇跡の逸材だと思った」
高らかにあざ笑うレオは、もはや人間としての威厳を失っていた。
違和感と悲しみだけが私を襲う。
彼の持っている、ハサミやメスがそれを物語っていた。
ツギハギの怪物の男と下半身が蛇の男性に助けを求めたい。
でも、リリカさんは怪異の力に頼るなと言っていた。
拘束されている私にできるのは祈ることだけだった。
(お願い・・・・・・助けて。私を・・・・・・誰か)
今ここで弱音をはいたらレオはその持っている拷問器具で私をヤル。
両目をあけるとそこには、妖艶なレオが私を見つめていた。
「お前は優しいから俺の研究を馬鹿にはしないよな?」
涙が止まらない。
その時だった。
「そこまでだ!」
「そこまでだ」
聞き覚えのある二人の声が聞こえた。
ドアと窓ガラスをぶち破る音がレオを怒らせる。
「ゆな先輩!リベリオンさん!」
拳銃と手錠の音がキラリと鳴った。
「貴様ら、何者だ!?」
不敵に笑うふたり。
彼らは私に向かって名乗った。
「僕は、月城ゆな。妖魔捜査官だ!」
「そして俺は、社長のリベリオン・ファントムだ」
サツという単語にレオは焦りを感じ眼を血走らせる。
一応説明しておくと、ゆなさんは私の大学の先輩。
リベリオンさんは、リリカさんのお父さんで吸血鬼なの。
「なぜここだと分かった!?」
「とぼけんなよ。アンタのこと全部調べてもらったぜ、フェイクな情報ばかりだ」
「研究の没頭により、誘拐した女性がいると。彼女を実験体にさせようとしたな」
悔しそうに歯ぎしりをするレオ。
そんな・・・・・・私はこの人に騙されたってことなの?
「どうしてこんなことをするの・・・・・・? 私はあなたの操り人形だったの?」
「黙れ! 何も知らない癖に。大人しく睡眠薬で眠りにつけばよかったものを」
レオの姿がどんどんおかしくなっている気がする。
この違和感はなんなの?
「相馬、今助けてやるからな。こいつは人間じゃねえ怪異だ」
「でもリリカさんは、人間だって言ってたよ・・・・・・?」
先輩が私の鎖を解いている間にリベリオンさんは、レオを睨みつけていた。
「娘だって人間だから間違えることもある。彼は、狼だ」
