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Episode9
この人が、狼?
レオの眼が黒くなりぬめぬめとしたあの感覚がまた私を襲う。
それから獣臭い。
リベリオンさんが説明してくれた。
「最近発見された『違和感』の怪異、コード。彼は大学生に化け、純粋で心の優しい人間を贄として捕らえる狼だ。人狼とは似た話だが、ずる賢しこく繊細。相馬君みたいな人間が大好きなんだよ」
違和感の怪異・コード。
そんな恐ろしい奴が今まで私に憑りついていたってことなの?
レオ・ジェイル・・・・・・コードは本性を表し、頭に黒い獣の耳。
口からは鋭い牙に両手には毛深く長い爪。
黒い尻尾が生え人狼のような姿へと変化した。
「僕も後から知ったんだけど。こいつは、存在しない記憶を植えつけられ幸福状態にする。『違和感』タイプの怪異は初めてだから少し心配していた。怖い思いしただろ?」
それで私のところに駆けつけたと。
じゃあ、ツギハギの怪物のゼオと寝室で会った大蛇の男性も幻?
「通りで、私は冷静すぎたなって思ったよ」
不思議なこともあるんだ。

「なぁ、ソウマ。正体はバレちまったけれどよ。本当は寂しかったんだ。騙したのは謝罪する」
先輩とリベリオンさんは、絶対に同情するなと強く訴えるだろうな。
本来の気持ちを忘れてもコードは今まで誰にも愛されずそんな醜い姿になったんだね。
彼の深紅の鋭い瞳が私をジッと見つめていた。
「相馬。気にしなくていいんだ、こいつにはキレていい」
先輩は心配してくれと言っているけれど。
なんかなぁ、私は彼を『完全な悪者』と思うことができない。
やってしまった行動は許せないけれど。
「だったらさあ・・・・・・」
私だって妖魔捜査官の一人。
厳しい人もいれば優しい人もいる。
怪異にも色んなものがあるんじゃないかなと私は思う。
だから、この形で捜査をおしまいにしようかな。
「ねぇ、コード。私は貴方を助けたい。もう争うのはやめよう」
「どういうつもりだ」
先輩とリベリオンさんは、私を見て驚いた表情。
いくら相手がとんでもない怪物でも私はふたりの怪異と戦った女だぞ。
「ここまで私を捕まえといて挙句の果てには、贄にするのですって? 今時流行らないよ」
「煽りにしか聞こえねえぞ。ということは俺を楽しませてくれるんだろうな」
コードが持っていたハサミとメスを落とし、私に向かって襲い掛かる。
その瞬間、先輩とリベリオンさんが彼を捕らえ行かせないようにする。
「ったくマジで困った後輩だぜ。ま、相馬がいいなら僕も考えがある」
「詳しくは、署で聞こうではないか」
悔しそうにコードが唸り声をあげると、先輩が手錠をかけた。
リベリオンさんは、お得意の催眠術で彼の身体を痺れさせる。
私は先輩やリリカさんみたいにこんな行動はできない。
ただこうやって交渉していくしかなかった。
「やめろ! 話が違うじゃないか」
「今度、他の純粋な子を誘拐したらその時はただじゃおかないから」
私が言えるのはたったそれだけだった。
Epilogue
無事に捜査を終えた私たちは古城から脱出することができた。
違和感の怪異こと、コードはリリカさんが面倒をみることになった。
怖い思いをさせたこと、相手を幸福状態にして存在しない記憶をみせたこと。
彼は狼の遠吠えをあげながら、リリカさんが乗るパトカーに連れていかれた。
書斎に戻った先輩と私。
リベリオンさんは、リリカさんと一緒に向かったので結局ふたりだけ。
そこには新たな怪異が増えていた。
「ゆな先輩、このお二人は?」
「まぁ一言で言うならアンデッドの友達が増えたんだよ」
小柄なチャイナ服姿の青白い表情の女の子。
ライダースジャケットにダメージジーンズが似合う好青年。
ふたりは八重歯を出しながら私を歓迎した。
「你好。私は麗華(リーホワ)。ソウマに会えて嬉しいわ」
「俺は、理久。君は月城の友達か。よろしく」
キョンシー少女とヴァンパイアの好青年に歓迎されている。
先輩って本当に怪異に好かれるんだなあ。
「ふふっ、わかりやすーい」
「これからが忙しくなりそうなんだよ」
後日談

この話には続きがあって。
実は逮捕されたコードは釈放されて、罪を償うことになったらしい。
リリカさんとちゃんと話し合った結果だから言えることなのだけれど。
後日、いつもの書斎に向かい挨拶をしようとしたとき。
「お待ちしておりました、ソウマ様」
「やあ、待っていたぞ」
目の前には、コードが椅子に座っており背後にはステラが微笑んでいた。
古城で出会ったメイド幽霊と違和感の怪異。
「えっ⁉ なんで二人がこんなところにいるの⁉」
「わたくし、思ったの。彼をどうしてもほおっておけなくて」
「罪を償うことになった。だからお前に憑りつこうと思う」
これも後からわかったんだけれど、ステラはただの霊じゃない。
コードの闇からうまれた『違和感の怪異』。
呪霊(じゅれい)と呼ばれずっと私の行動を監視していたみたい。
人狼(コード)と呪霊(ステラ)に憑りつかれるなんて、私はいつまでも彼らから逃れられないな。
ミステリーじゃなくて、ホラーになったでしょ?
あっ、リリカさんから連絡が来ていたみたい。
「もう彼の相手をするのは疲れたわ。これからはメイドさんと共に相馬が責任を持って仕事に励みなさい」
人形と怪物の次は、人狼と呪霊ですか。
「雑務をお手伝いしようかと。リリカ様の負担を減らすために。ふふっ、ソウマ様もね」
「という訳だから俺も、ソウマをずっと見続ける。ストーキングと言われても構わん。お前は一生、俺の実験体だ」
この事務所がお化け屋敷になるのも時間の問題ってか、もうなってるか。
違和感の怪異の捜査はこれにて、おしまい。
「承知しました、私だけのメイドと主様」
きっと、嫉妬どころではすまないでしょうけれど。
終幕
