オレは勇者。聖女に選ばれた幼なじみの彼女、ミントと共に世界を救う旅をしてきた。
世界を救う…それは勇者のオレが魔獣を倒して数を減らし、聖女のミントが各地の女神像に祈りを捧げ、魔獣の巣食う地で浄化の大魔法を使うこと。
だが浄化の大魔法は、世界が救われる代わりに使用した者の身体が泡となって消え去る禁忌の魔法だった。
オレはもちろん反対したけど、ミントは自分の使命だからと言って聞かなかった。
そして、魔獣の巣食う地でミントは浄化の大魔法を使い、各地の女神像が呼応して世界がミントの髪のような緑色に輝く。
綺麗だ。そう思った直後、ミントの身体から泡が出始めた。
「ミント!」
「勇者くん…ここまで一緒に着いて来てくれて…ありがとう…」
「ミント!ダメだ、ミント!」
オレはミントの身体を思いっきり抱きしめるが、無情にもミントの身体の泡は止まらない。
「泣かないで…勇者くん…私は死ぬんじゃない。泡となって世界に溶けるの。だから勇者くんとはずっとずっと一緒よ。」
「違う!オレは平和な世界で、大好きなミントと2人で静かに暮らしたかったんだ!」
そう言った瞬間、ちょっとだけミントの顔が赤くなった気がする。
「…嬉しい。ありがとう…勇者くん…」
ミントは最後に微笑んでそう言った。
「ミントー!!」
オレはミントの泡が全て消えて無くなるまでミントを想い、1人緑色の世界でうずくまって涙した。
「…礼央ー?いつまで風呂入ってんのー?」
「んー、待って。もうちょっとで上がるから。」
次はサクラか、それともミカンかな。カモミールも捨てがたい。ローズもいい。
でもやっぱり、ミントの入浴剤が一番で、大好きだ。
終わり