私は、ネコ。この家に住むようになって結構経つ。ここには食べ物もあるし、寝床もある。何か美味しいものも時々出てくる。ニンゲンの遊び相手をしないとならないのが不満だが、そこは私が妥協してあげているのだ。この家は私が居ないと成り立たないらしいからな!
・・・そんなある日、そいつはどこからともなく現れた。どうやらニンゲンの誰かが招いたらしい。
そいつは無愛想なくせに、何故かニンゲンは見るだけで褒める。
ただ丸くてちょこまか歩くだけだし、私とそんなに体長は変わらない!…多分。
ムカついたのでパンチしてやった。誰がこの家で一番のアイドルか思い知らせてやらないと。
でもそいつは、私を避けるのが上手いし、パンチしても痛がったり逃げたりしない。いつもただちょこまか歩くだけ。
そいつをいじっているとニンゲンに怒られる。なぜ!?こんな丸いののどこが良いの!?
仕方なくそいつを観察していると、ある事に気付いた。
あの丸いやつは、私と違って冷たい床で寝ている!!それに落ちているものしか食べない!飲まない!私が食べられないものまで食べる!信じられない・・・。
こうなったら奥の手よ!私は得意の上からの奇襲作戦に出た。私は見事丸いやつの上に乗ったのだ。
私の勝ちよ!・・・って、何でこいつは私を乗せたままちょこまかしているの??
ニンゲンもなんか、すっごい笑いながら薄い板を向けているんだけど!?
丸いの!止まりなさいよ!どこまで行くのよ!?ニャーっ!!
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「って事にならないかなー?」
「ならないわよ。だって昔から猫用のおもちゃにも興味無かったじゃない。」
「うー・・・。」
「それにウチは物が多いし、段差もあるから、ル〇バは買えないわ。」
「動画みたいにならないね、ウチの猫は。ち〇〜るは食べるのに。在宅ワークしてても全く膝に乗らないし、キーボードを触ったりしないし。」
「ウチの猫は絶対にそういうことしないから。それに猫は癒しよ、癒し。」
「まあ…そうだね。いてくれるだけでいいか。」
そんな話を母としながら、私はスマートフォンに表示されたお掃除ロボットに乗る猫の動画を消して、自分の家の猫に癒されに向かった。
終わり。