「はい、今日は有名な彫刻士超鋼 久司さんにお届けいたしました!ありがとうござ・・・」
ピッ・・・
テレビに映っているのは彫刻士の弟子入りして免許皆伝した奴だ。
俺は奴が嫌いだ。わずか彫刻士を始めてから年数が5年ぐらいなのに天才とちやほやされている。
彫刻士はこだわりの持ち方はそれぞれだ。
超鋼 久司は3年前に免許皆伝して半年前に木彫り彫刻コンテストの最優秀賞をもらった。
超鋼 久司、あいつは若いのにそれでも最優秀賞だ。
どうして超鋼がたった2年しか掛かってないのに最優秀賞なんだ!
年数はこっちの方が7年も掛かってるのに。
こっちの作品は優秀賞だ。最優秀賞はこれまで1個も取れていない。
まあいい、どうせ俺の作品は他のみんなにはわからない。
「またふてくされてるんですか古川親方?そんなんだから優秀賞止まりなんですよ。」
光野が俺をみてあきれていた。
「あきれてる暇があったら作業したらどうだ!」
俺が注意したら光野は衝撃な言葉が返ってきた。
「ったく、賄賂で優秀賞をもらったくせに。」
えっ?賄賂?なんでそれを知ってるの!?
「光野君?それはどこで知ったのかな?」
「親方が今年のコンテストの受賞式に行く2日前に、掃除してバックを落としてしまったら賄賂を渡す為のお金と渡す相手に賞を取らせてくれという文面の手紙も詰めている封筒が出てきたんですよ。さすがにビジネスバックの中に入れるのは安易すぎますよ。」
うそ、まさかそんな事になるなんて!?
「どうして賄賂を始めたんすか!?その金で資材を買ってもっといい作品作ればいいのに!!」
だってぇ、家族を養う分が・・・。
「既に離婚して子供は奥さんが親権を持たれたのでしょ!!療育費を稼ぎたいのなら普通にその賄賂の金で渡せば良かったじゃないですか!!どうして、・・・どうして賄賂で賞を取ったんですか!!」
光野の正論で俺は何も言い返せない・・・。
もう精神がボロボロだよ・・・。
「・・・では古川親方の賄賂の件を週刊誌に売ってきますんで。そして別の彫刻士に弟子入りしてきますんで。」
「週刊誌に売るのはやめてえええええ!!」
流石に怖かったよお。こっちが泣きついて阻止するしかないじゃん!
「今更遅いです。どれだけメンタル弱いんですか!もうかかわらないでください!」
いやだあああ。
光野ぉー、出ていかないでぇ!!
ピラッ。
ん、なんか落ちたぞ?
紙切れみたいなものだな。一体何なんだ?
その紙切れはとんでもない事が書いてあった。