…その日、みるのいる世界はお正月。年の始め。みるとサラミはこたつに入り、ぐーたらしていた。ふと、みるの家のインターホンが鳴って、サラミの耳がピクッと反応する。
「…みる〜?なんか鳴ったぞ?」
「宅配だ。サラミ、見てきて。」
「え~、何でアタシが。」
「今正月記念回してるから!!!」
「…はいはい。まったく、しょーがないな、みるは。」
携帯ゲームに夢中のみるに、渋々こたつから出て玄関に向かうサラミ。こういうところで後々みるに使える材料を確保しておかねば…と思うサラミが玄関に着くと、確かに荷物らしい大きな箱がドアの内側に置いてある。
「普通の宅配じゃないってことは、ユリィさんか他の知り合いか?」
サラミは箱をベリベリと勝手に開け始めた。
「うぎゃー!!大・爆・死!!それも全部!!」(※爆死…ソーシャルゲームのガチャを10回以上回して1つも当たりが出ないこと。)
みるはテーブルに突っ伏して、ゲームを本体ごとクッションにポイッと投げる。
「今年もか…今年もダメなのか…フフフ…救いはないのか…。」
「みーるー。荷物ー。」
「んー、何だった?」
サラミが玄関から持ってきた箱を見ると、中には食べきれない程の「おもち」が入っていた。
「・・・・・。」
「どうする?食べきれないよ?」
その瞬間、みるはニヤリと悪い顔を浮かべる。
「サラミ、家で食べる分だけ取って持っていくよ。」
「どこに?」
「決まってんでしょ。不思議図書館だよ!!あの鬼で悪魔なむつぎに、たーくさんご馳走してやる!!爆死の恨みだ!!」
「爆死はむつぎとカンケーないんじゃ…」
「サラミが食べる?死ぬほど食べさせてあげるよ?」
「…そうだ、図書館、行こう。」
みるとサラミはお餅を持って不思議図書館に向かった。
「あけおめ、むつぎ〜。お餅食べる?食べるよね!ほーら食らえ!おもち爆撃よ!!」
図書館に入るなり、ズカズカとむつぎに一直線のみるは、有無を言わさずお餅を両手で、むつぎの口に突っ込んだ。
「こんちわ~。」
「サラミ!」「あら、こんにちは。」
「イミアとユリィさんもいたのか。餅食べる?」
「ほらね?言ったとおりでしょう?」
「はい!…先生がね、みるの世界は今お正月?だからお餅がいっぱい食べられるよって言ってたの。」
「じゃあ、やっぱりあの餅はユリィさんの?」
「いいえ、流石に連絡も無しにそんな勿体ないことはしないわよ。むしろ私がいくらか持ち帰りするわ。ご近所…いえ…顔馴染み?…そういうところに配るから。」
「ありがとうございます。みるとアタシじゃ食べきれないから。」
「じゃあ、あたしも所長に持っていってあげる!」
「さんきゅー。…ところで、アレはいいのか?」
サラミが示した先では、餅を食わせまくるみると、何とかこの場から抜け出そうと必死なむつぎの攻防が、まだ続いている。
「いいのよ、どうせむつぎは餅が喉に詰まるなんて無いもの。」
「へー、流石は司書。」
「あ!さっきね、みるとやってるゲームで、むつぎさんが最高の当たりを引いたの!」
「イミア、それ絶対にみるに言うなよ。」
「何で??」
「ふふふ、多分爆撃が、お餅だけじゃ済まなくなるわね。」
「???」
こうして、みるの家に届いた大量のお餅は、無事に食べきれる量まで減ってくれたのだった。
「…これも1年に1度しか味わえない貴重な「体験」だね…」
「そうだよ?だから…もっと食らえー!!」
「もういやだーーっ!!」
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☆今年も不思議図書館をよろしくお願いします! By作者メルン