瀬良の部屋の前に来たものの ななの は中に入るのに戸惑っていました。
中から、大声で争う声が聞こえて来ました。
「お父様が教授じゃなくなったから、私と別れようというの?」
「いや、違う。」
「じゃあ、どうして?言いなさいよ。」
「ボクは大学を辞めたいと思うんだ。」
「あなたが大学を辞めて、何が残るというの?」
「何も残らないかもしれない。だから、キミには耐えられないだろう。」
「そうね。何にもないあなたに用事はないもの。」
「だから、僕と別れよう。」
「分かったわ。さようなら。」
話が終わったと思ったら、ドアが勢いよく開き、彼女は去って行きました。
呆然とする瀬良は ななの が入って来るのに気が付きませんでした。
「こんにちは。」
「あ、すいません今、取り込んでいて・・・。」
「瀬良さん?私です。ななの です。」
「ななの さん・・・。」
「大丈夫ですか?」
「はい、なんとか。」
「瀬良さん、さっきの話を聞いてしまいました。」
「そうですか。」
「大学を辞めて、何処に行かれるのですか?」
「その事ですが、ななの さん、僕に付いてきてくれませんか?」
「えっ?」
「僕はあの絵の風景がどこで見られるのか、やっと、見つけました。そこに ななのさんと一緒に行きたいのですが・・・。」
「行きます。行かせてください。」
「ありがとう。決して楽な生活ではないかと思いますが、一緒に頑張りましょう。」
「はい。お願いいたします。」
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瀬良と ななの は表が静かになったのを見計らって、カフェに逃げだして行った。
カフェにつくと叔母が待っていた。
「ななの ちゃん、お母さんには私から話しておくから、瀬良さんに付いて行きなさい。」
「叔母さん…ありがとう。」
ななの は荷物をまとめると瀬良と共にあの風景が見えるという場所に出発しました。
その後、瀬良とななの はそこで静かに仲良く暮らしました。
絆の糸 ―― episode 3 宇宙へ――に続く