瀬良と ななの の娘、瀬良 光音(みおん)は理経女子でした。
大学卒業後、JEXA(Japan earth express air)に就職をしました。
JEXAは地球外の惑星に移住しようと考える地球人に情報と手段を提供する会社でした。
「みーちゃん、デートしてよ~♪」
同僚の文也が今日も朝の挨拶の様に光音に声を掛けて来まし。
「文也くん、誰にでもそうやって軽く言っているでしょう?」
「えへへー。違うよ~みーちゃんは特別なんだってば~。」
「いつまでも言ってなさい。私は忙しいんだから。」
「えーみーちゃん、お話しようよ~。」
光音が担当部署に来ると、部屋全体にいつもは無い緊張感が感じられました。
その緊張の先には見慣れないスーツ姿の男が立っていました。
「あの人、誰?」
「あら、光音ちゃん、知らないの?今回のプロジェクトの投資家の星野 白群(はくぐん)様よ、良い男でしょう?」
「え?そうかしら・・・。」
会社のお局とそんな話をしていると星野が
「そこのキミ、この邪魔なもの片付けて。」
光音は
「私ですか?」
「そうだよ、余計なこと話している暇があったら、その辺の整理整頓でもしろよ。」
「はい、すいませんでした。」
2人の出会いは最低でした。
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2人の出会いは最低だったが、ある出来事で印象を変えることとになりました。
それは光音が外回り中、ある公園に差し掛かった時のことでした。
突然、降り出した雨。
光音はカフェの軒先で雨宿りしている時でした。
誰かが、遠くから傘もささずに走って来ました。
その人もカフェの軒先に雨宿りをしていました。
良く見ると、星野 白群でした。
「あっ!」
思わず声をあげてしまった光音に
「ああ、キミか・・・どうして中に入らないんだ?」
「一人で入るのはちょっと・・・。」
「じゃあ、2人なら入れる?」
「まあ、2人なら・・・。」
「じゃあ、俺と店の中に入ろう。」
「はい・・・。」
逆らっては行けないと思い光音はとっさに星野に答えました。
店に入ると店員が注文を取りにやって来ました。
「ご注文は?」
「おれ、ココア。キミは?」
「ロイヤルミルクティーを。」
「星野さん、ココアって(笑)。」
「笑うな、俺はコーヒー飲めないんだ!悪いか?」
「いえ(笑をこらえながら)色々な人がいますから。あっ!星野さんのお名前はどういう意味があるんですか?」
「ああ、宇宙好きの両親が青の種類に白群という色があって、白っぽい青を示す名だそうだ。キミの光音は?」
「ああ、うちも宇宙好きの両親が宇宙に届く音って光の方が早いし、響が良いだろうという事で。」
「お互い、親には苦労させられるなぁ。」
「私はわりと気にいっているので大丈夫です。」
意外に話が弾んだ事に2人は驚いていました。
こうして話をしているうちに雨はすっかり止んでいました。
「これから会社?」
「はい。」
「俺も行くから、ちょっと、待ってて。」
そう言うと百群は走って何かを持って来ました。
傘と段ボール箱でした。
段ボール箱から、よわよわしい猫の声が聞こえて来ました。
「さっき、雨に降られて段ボール箱壊れそうだったし、猫が雨に当たったら死んじゃうと思って・・・。」
そう白群は恥ずかしそうに言いました。
その顔に光音は恋をしてしまいました。
絆の糸―― episode 2-1 未来に――に続く