銀河系の統一とブレーン達の戦死の知らせが入ったのはアドラーと別れてから半年経った頃のことだった。
「エリゼちゃん、遊ぼうよー。」
「ああ、智也君、いいとこに来た。アナタのとこのブレーンとアドラーは友達だったと思うけど?」
「そうだよ、ブレーンになった時期が一緒だったとか、うちのブレーンの方が爺さんだったから今回、召集されなかったんだ。」
「そうか、だったら、私をそのブレーンに会わせてくれない?」
「いいよ。」
「ありがとう。」
エリゼはアドラーがどうなったか知りたかった。
智也にお願いして、ブレーンと会う事になった。
「こんにちは智也のブレーンさん。」
「やあ、こんにちは。エリゼさん。あなたのことは智也君から毎日、聞いています。」
「毎日?」
「そうです。智也君はいつも、エリゼさんに冷たくされる。おれは本気なのにといってますよ。」
「こら、プラトン、余計なことを言うな。」
「はい、そうですね。それで、今日は何を私に聞きに来たのですか?」
「プラトンさん、アドラーとお友達でしたよね?」
「そうです。ブレーンになってはじめて出来た友達です。」
「彼は今どうしているの?生きているの?」
「エリゼさん、大変言いにくいのですが、彼は戦死いたしました。」
「戦死?じゃあ、二度と彼には会えないの?」
「エリゼさん、実は僕達ブレーンが亡くなった後、墓場みたいなところに集められます。もしかしたら、彼の痕跡を見つけられるかも知れません。
「プラトン、私をそこに連れて行ってくれませんか?」
「良いですけど、辛いかも知れませんよ?」
「いいの、私自身に踏ん切りをつけたいから。」
「分かりました。いろいろな手続きがありますので1週間後にまた会いましょう。」
こうしてエリゼはブレーンの墓場に行く事になった。
・
・
・
「ここです。エリゼさん。」
「ここね。何て暗く寂しいところなの。」
「墓場ですからね。」
「あっ、何か話し声が聞こえる。」
こ・・こ・・・です。こ・・こ…です。
「そうですか?生体反応を調査します・・・。わずかですが東に50メートルのところに生体反応があります。」
「分かった。私、行ってみる。」
「私はここでお待ち致しております。」
エリゼは声のする方に歩いて行った。
近寄って行くうちにその声はアドラーの声だと確信した。
「アドラー?どこなの?」
「エリゼさん?ここです。」
声のする方を見ると瓦礫の中から、脳みその入った水槽が見えて来た。
「アドラーなの?」
「エリゼ様、こんな姿になってしまいましたがアドラーです。」
「よかった。もう、会えないかと思った。」
「エリゼ様。」
「帰ろう、地球に。」
「えっ?でも、これでは」
「私に良い考えがある。」
そう言って大事にアドラーを持つとプラトンの元に帰った。
「やあ、プラトン、久しぶりだな。」
「えっ?アドラー?生きていたのか?」
「生体反応が弱かったから、遠くまで飛ばせなかったが、俺は生きている。」
「そうか、それは良かった。」
「プラトン、悪いんだけど地球まで急いでくれない?早く、溶液の入れ替えをしないと。」
「分かりました。みなさまシートベルトをして身体を固定してください。」
プラトンはもの凄い勢いで地球に向かった。
絆の糸―― episode 3-3 幸せとは――に続く