絆の糸 ―― episode 3-2 墓場 ――

銀河系の統一とブレーン達の戦死の知らせが入ったのはアドラーと別れてから半年経った頃のことだった。

「エリゼちゃん、遊ぼうよー。」

「ああ、智也君、いいとこに来た。アナタのとこのブレーンとアドラーは友達だったと思うけど?」

「そうだよ、ブレーンになった時期が一緒だったとか、うちのブレーンの方が爺さんだったから今回、召集されなかったんだ。」

「そうか、だったら、私をそのブレーンに会わせてくれない?」

「いいよ。」

「ありがとう。」

エリゼはアドラーがどうなったか知りたかった。

智也にお願いして、ブレーンと会う事になった。

「こんにちは智也のブレーンさん。」

「やあ、こんにちは。エリゼさん。あなたのことは智也君から毎日、聞いています。」

「毎日?」

「そうです。智也君はいつも、エリゼさんに冷たくされる。おれは本気なのにといってますよ。」

「こら、プラトン、余計なことを言うな。」

「はい、そうですね。それで、今日は何を私に聞きに来たのですか?」

「プラトンさん、アドラーとお友達でしたよね?」

「そうです。ブレーンになってはじめて出来た友達です。」

「彼は今どうしているの?生きているの?」

「エリゼさん、大変言いにくいのですが、彼は戦死いたしました。」

「戦死?じゃあ、二度と彼には会えないの?」

「エリゼさん、実は僕達ブレーンが亡くなった後、墓場みたいなところに集められます。もしかしたら、彼の痕跡を見つけられるかも知れません。

「プラトン、私をそこに連れて行ってくれませんか?」

「良いですけど、辛いかも知れませんよ?」

「いいの、私自身に踏ん切りをつけたいから。」

「分かりました。いろいろな手続きがありますので1週間後にまた会いましょう。」

こうしてエリゼはブレーンの墓場に行く事になった。

「ここです。エリゼさん。」

「ここね。何て暗く寂しいところなの。」

「墓場ですからね。」

「あっ、何か話し声が聞こえる。」

こ・・こ・・・です。こ・・こ…です。

「そうですか?生体反応を調査します・・・。わずかですが東に50メートルのところに生体反応があります。」

「分かった。私、行ってみる。」

「私はここでお待ち致しております。」

エリゼは声のする方に歩いて行った。

近寄って行くうちにその声はアドラーの声だと確信した。

「アドラー?どこなの?」

「エリゼさん?ここです。」

声のする方を見ると瓦礫の中から、脳みその入った水槽が見えて来た。

「アドラーなの?」

「エリゼ様、こんな姿になってしまいましたがアドラーです。」

「よかった。もう、会えないかと思った。」

「エリゼ様。」

「帰ろう、地球に。」

「えっ?でも、これでは」

「私に良い考えがある。」

そう言って大事にアドラーを持つとプラトンの元に帰った。

「やあ、プラトン、久しぶりだな。」

「えっ?アドラー?生きていたのか?」

「生体反応が弱かったから、遠くまで飛ばせなかったが、俺は生きている。」

「そうか、それは良かった。」

「プラトン、悪いんだけど地球まで急いでくれない?早く、溶液の入れ替えをしないと。」

「分かりました。みなさまシートベルトをして身体を固定してください。」

プラトンはもの凄い勢いで地球に向かった。

絆の糸―― episode 3-3 幸せとは――に続く

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なないろびと

水彩画中心に絵を描いています。 先ずはやってみることが、私流です。 日々感謝の毎日です。 少しでも、みなさんに幸せを届けられますように・・・。

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