※使用ツール『GeminiAI Nano Banana2』
Episode2
翌日、魔霧は事務所の掃除や残りの買い出しをしていた。
疲れてソファーに座り、昼飯にしようとファストフード店で購入してきたものを出す。
チーズバーガー、アイス烏龍茶、フライドポテト。
幸せそうに頬張る。
「うーん。作業を終わらせた後の昼飯は美味いぜ」
幸い依頼人も来ていないためか、昼休みとして過ごしていた。
一人の時間には慣れている。
孤独になるということは、それだけの自分の時間を使えるということ。
賑やかになるのはゴールデンタイム。
怪異たちが現れてもすぐに対応できるのが魔霧だ。
欠点があるとするならば。
「なぜだろうな。私の周りは騒がしいわけでもないのに。どうして視線は感じるんだろう」
自ら望んでいるのか、化け物から望んで語りかけるのか。
氷がカランと鳴るとストローを吸って烏龍茶飲み干す。
暗くどこか肌寒さも感じる。
エモクロアTRPGなら共鳴判定で十面ダイスを振る場面。
主人公の気持ちになって少し身震いした。
すると、何かがプツンと糸の切れたような音がした。
恒聖、玲、初羽がいない今、できることは彼女自身が行動するしかない。
「誰かいるのか?」
魔霧のスマホから着信の通知音が鳴る。
怪しさは満点。
でも宛が、萌斗探偵事務所宛ての受話器にも音が鳴る。
いたずらなら、すぐに切ろう。
魔霧は電話に出た。
「もしもし?」
『お願い、助けてください。ここならきっと』
ノイズのかかった女性の助けを求める声が残り、着信は切れる。
また、何かがプツンと糸の切れたような音がする。
すると魔霧の脳内から声が聞こえてきた。
(今、君の脳内に語りかけている。今から私の言う通りにしてほしい)
「誰なんだいったい、名乗らないと信じないぞ」
(すまないな。今は訳があって名乗れない。彼女の声を聞いたのだろう?)
話しているのは、男の声だった。
低くて地の底から這い上がるような。
「はぁ……….わかったよ。で、どうすればいい?」
(目の前の【彼】を見つめろ。絶対に目を背けるな)
ゆっくりと魔霧は、正面を見つめる。
そこにいたのは。

青髪の好青年が大きなハサミを持って魔霧を見つめていた。
彼から生気を全く感じない。
「……….マジで?」
(彼はどうやらキミに聞きたいことがあってここに来たようだぞ)
「……….えっと、何か御用ですか」
魔霧が恐る恐る話しかけると青年は言った。
『彼女はどこだ。教えてくれ』
「……….はい?」
どうやら、人探しの雰囲気ではなさそうだ。
(ここにはいないと伝えろ。それから、赤い糸は東へ向かったと言うんだ)
「ええっ」
「何か知ってるんだろう、教えてくれ。さもないと』
魔霧の背後から大きなハサミが迫る。
今にも切りつけようとしてくる雰囲気だ。
(急げ、言う通りにしろ)
「あっ。あ!ここにはいません。赤い糸は東へ向かいました」
青年は舌打ちをすると消えてしまった。
魔霧は力が抜けて、しゃがみ込んでしまった。
Episode3
「びっくりしたぁ…….なんなんだアイツは」
魔霧が冷や汗をかきながら部屋の周りをキョロキョロと見る。
脳内に話しかけてきた男が解説する。
(彼は【赤い糸裂き男】だ。最近出現した怪異で、恋もしていない相手に無理やり運命の赤い糸を巻き付ける)
「…….で、その大きなハサミで切られると呪い56される的な?」
(随分と勘が鋭いな。元々は恋愛長寿の神様だったんだが信仰が薄れて怪異へと堕ちた。祠が壊れたらしい)
怪異譚あるあるで、こういうタイプはだいたい生贄を探したり嫁になろうとしてくることが多い。
なぜ魔霧のスマホから女性の助け声が聞こえ、赤い糸裂き男がやってきたのか。
「なぜ私を助けてくれた? まさか貴方が依頼人?」
(まあそうなるだろう。今は訳あってキミに憑いている)
姿を表せ、とは言わずとも何を信じたらいいか分からない。
だが先程までの嫌な雰囲気は消えていた。
(彼はもうやって来ないだろう。女性の電話も偽物だ)
「マジで? なーんか腑に落ちないんだけどね」
男の発言を信じるなと言われると無理な話だ。
すると、ドアのベルが鳴り誰か来た。
魔霧は身構えていつもの仕事モードになる。
「いらっしゃいませ」

「魔霧せんせいー。わたくしですよ~♬」
「おっ、初羽じゃないか。ここに来たと言うことは…….?」
「はい!お手伝いに来ましたわぁー」
相変わらず、物怖じしない度胸のある少女は周りをくるくるしながら楽しそうにしている。
だが魔霧は自分に憑りついているのがなんなのか知りたくてうずうずしていた。
心の中は焦りと不安が喧嘩しているようで険しい表情になってしまう。
「んー? 魔霧せんせい、どうしたんですかー」
「いや、何でもないよ。少し喉が乾いただけだ」
誤魔化しても本音を初羽に話すわけにはいかない。
すると男は言った。
(もうキミに危機はないから失礼させてもらうよ。すまなかったな)
(どーも。今度はちゃんと名乗ってくださいね)
(そうするよ。あ、最後にひとつだけ)
魔霧はドアを見つめ、顔色を青ざめた。
(【彼】は対処できん。キミの力でなんとかするといい)
ブツリとノイズのような音と共に男の声は聞こえなくなった。
続く
