※使用ツール『GeminiAI Nano Banana2』
Episode4
初羽は【彼】が来てもお構いナシに普通に接した。
「こんにちはー。いらいにんの方ですかー?」
【彼】は二コリと微笑んだ。
『こんにちは。君はとても親切な可愛らしい子だね』
優しく頭を撫でると初羽は幸福そうな表情で自己肯定感があがりご機嫌になる。
魔霧は話せなくなりまるで金縛りにあったかのように身体が動かなくなる。

後悔だけが魔霧に残る。
ひとまず初羽に声をかけようとした時。
「あのさ、うい……..」
「魔霧せんせいー、ごめん。親から電話が来たから帰るね。また来るー」
「お、おう…….またな」
事務所の中は魔霧と【彼】だけだ。
興味深い【彼】が魔霧に話しかける。
赤髪に黑い服装、なぜだか【彼】にはとてつもない恐怖心を感じる。
『ここであっているのか? お前の場所は』
「あ………..ああ」
ドスのきいた低い声だった。

「………..この感じ、【あなたとは】、初めて会った感じがしない」
『そうだな。俺もお前にやっと会えて嬉しいよ。本当に美味しそうな見た目になったな』
魔霧はこの男がどれだけ危険かなんとなく感じた。
恒聖のような無愛想な感じでも、玲のようなメンタリストな感じでもない。
(私の【不安そのものが自ら会いに来た】感じだ……..)
違和感と強い視線、抱きしめられている感覚。
この異常な気配は、魔霧だけに感じられる。
観ていた動画の視聴履歴も、友人関係のネガティブな部分も。
ずーーーーーーーーーーーっと、彼がそこにいるかのように。
「………..ご用件はいったい」
『決まっているだろ。お前は俺と一心同体。やっと受け入れる体制を受けたな。嬉しいよ』
「まさか」
魔霧をじっと見つめ、安心した表情で笑う。
彼はまるで防犯カメラで犯人を見つけたような鋭い眼光で魔霧に近づく。
スマホを取り出し、魔霧は助けを求める。
だけど。
(恒聖は禊中、玲さんは迷った時にしか助けない)
「壁に耳あり障子に目あり、とはまさに今のことだななんて」
『ずーーーーーーーーーーーっとお前を探していたんだ。返事もしないし、会おうともしない』
魔霧は急いで彼から離れるように自分の部屋に向かって走り出す。
なぜ自分は、怪異に好かれやすいのか改めて考える。
彼のような存在は、怪異の上位存在そのものだった。
だけど、部屋に入るドアがどこにあるのかもわからず無限廊下になっていた。
ただただ走る、彼に追いついたら本当に取り返しのつかないことになる。
笑い声と鼻歌がすぐそこまで迫っている背後から。
「どうして、私は走っているんだ。早く部屋に入って寝ればいいのに」
「いつまでも俺を拒んでいるからだ。子どもじゃないだろ。大人なら判断できるはずだぞ』
「じゃあどうして今来たんだ。私はお前のことなんて何も知らないっ」
『だから俺が自ら会いに来てやった。夢じゃない現実だ、いい加減受け入れろ』
魔霧は思った、夢なら醒めてほしいと強く願う。
このままずっと永遠の無限廊下を走るのはもう沢山だ。
「………..教えてくれ、君はいったい何者なんだ」
魔霧が床に転がる。
背後から、数多の深紅の血の鎖が全身に繋がれる。
『俺は、お前のエゴを拒んだ怪異そのものだ』
「………..いやだ!4にたくない!」
『何度も言わせるな、俺を受け入れろ。じゃないとお前の血を全てもらう』
両目が少しずつ、まぶたが閉じていく。
(私のエゴ?)
従妹のようにはいかなくても、せめて自分だけは真面目でいたい。
じゃあなんだ。
今までの努力は無駄だって言いたいのか。
脳内で話しかけてきた男の助けもナシでいったいどうやって彼と対話をしろと?ふざけるんじゃない。
魔霧はゆっくりと意識を失い、彼はそっとあざ笑った。
〈数時間後〉
「ん……….」
目が覚めると魔霧は自分の部屋のベットの上で横になっていた。
本当に夢なのか。
確かめるために、頬を強くつねる。
「痛いっ」
間違いない、これは現実だ。
さっきの赤髪の男の姿はない。
「あきらめてくれたのか……….」
『いいや。もうお前に憑いてるぜ』
聞き覚えのある声に、魔霧は背後を振り向く。
意味のない時間に怯えながら、魔霧は現実を受け入れた。
「なぜだ……….なぜお前がいる?」
『少し怖がらせたなと反省してお前を手当していた。何か感じないか?』
魔霧は自分の首筋、腕、脛に違和感を覚えた。
あたたかなぬくもりがある、だがそれは安心できるものではない。
憑かれたということは、彼は魔霧を認めている。
「……….どうしてそこまでして、私を欲しがるのか。私は道具じゃない!」
『ははっ!可愛い顔もできるんだな。さすがは俺の、みこんだ通りだ』
もし本当に彼女の【エゴ】が怪異化しているならそれは自分が嫌いだと言っているのと同じだ。
監視されている他、これ以上表現できることはない。
(私のネガティブな部分がそこまで悪化しているなんて、幻覚に過ぎない)
(どこまでもしつこい女だ。俺は神様じゃねえ。お前の一部だよ)
違和感とたたかってきたことにより、魔霧はひねくれてしまう。
感情を失ったとまではいかない。
悔し涙が顔をおおい、彼はその涙を舐める。
「真っ暗な一本道でどこにも行けない夢だった。それが私の悪夢そのもの」
「深く考えすぎなんだよ。優しさだけじゃ何も変わらないぞ』
魔霧はゆっくりと自分の鏡を見つめ、背後にいる彼を見た。
真実と嘘がこの世にあるように、二人は光と影そのものだった。

(依頼人が来ない時間で助かった。私の問題は私が片付けなきゃ)
続く
