小さな田舎に小さな家。どこかへ移動するには不憫な村である山形県の集落に引っ越すことになった。
理由は父親と母親が二人そろって病死したからだ。だから僕は二人の葬式を終えた後、田舎に住む父方の祖父母と伯父さんの家に越すことになった。
運命って時に残酷だなあ。お父さんが先立った後にお母さんも後を追うように亡くなるしさあ。何で二人そろって死ぬんだよ。
「・・・・・・つむぎ、そろそろおじいちゃん家に着くから準備しておけ。」
伯父さんの運転する車はもうすぐ祖父母宅へ到着する。
「・・・ああ。わかったよ伯父さん。」
物思いにふけってる時間はあっという間だった。
車から降りてすぐにじいちゃん、ばあちゃんの所へ挨拶に行った。
「おう、つむぎ!いらっしゃい!赤ん坊の頃から大きくなったなあ・・・。」
「可哀そうに、まだ幼くして父さんと母さんを失うなんて・・・。」
ばあちゃんは僕を慰めるように抱き着く。
じいちゃんとばあちゃんは慈愛深い人たちだった。とにかく優しくて孫の僕が生まれてから大喜びしていた。
「・・・よろしく。」
僕が素っ気ない挨拶をするとじいちゃん達はまた悲しい顔をした。僕が泣きたくなるようなうつむく顔をしているのを察したんだろう。実際にその通りだ。
そんな横から一人の男の子が家から飛び出すように出てきた。
「おい!おめえつむぎか?こんちは!」
「えっ・・・?こんちは・・・。」
「なんだおめえ、むつけてばかりいるはあ。(ふてくされてばかりいるなあ。)」
僕は終始困惑していた。言葉も「むつける」とか色々なまっていてわからなかった。
話しかけてほしくないし馴れ馴れしい。
「これたくと!気にちょすことを言うんでねえ!(気に障ることを言うんでねえ!)」
たくと!?あの2歳年上のいとこか!5歳の時に見知っただけなのに僕より上背がある。
「つむぎはお父さんとお母さんがいなくなってここに住むことになったんだ!あまりぶじょほすることないようにな!(あまり失礼の無いようにな!)」
「ふうん、父ちゃんと母ちゃんがどんなことでいないのかわかんねえけどいいもの見せてやるよ。元気出るぞお!!」
「えっ、ちょっと!?」
僕はたくとに手を繋がれたままどこかへ連れていかれた。
そこには雑木林が多く、古くて大きくてボロボロの屋敷があった。