幽霊かと思っていたらおかっぱ頭の幼稚園ぐらいの着物の少女だった・・・。
着物の少女が僕に手を取り合って立たせてくれた。
「びっくりしたあ・・・。幽霊が出るのかと思ったあ。」
「ごめんね。ここは僕しか住んでなくて、たまに君ぐらいの子が遊びに来るんだよ。」
着物の少女は申し訳なさそうに落ち込んでいた。
こっちも悪いことしたなあ。僕よりも年下の女の子を幽霊かと驚いてしまった。
「ていうか、お父さんとお母さんはいないの?君みたいな女の子は親と一緒に住んでるのかと思ったけど。」
「このお家は僕一人なんだ。親も他界しちゃってもういないんだ。古くてボロボロのお家だけど不便じゃないよ。」
そんな・・・、僕よりも不幸な人生を歩んでいるじゃないか。周りの大人たちはこんなまだ幼稚園ぐらいの娘を誰も引き取ろうとしないなんて。可哀想に・・・。
ガサガサ!
えっ?着物の少女を憐れんだ途端にまただれか来るの!?ヒイイイイイ!!
「あっ!!いたいた!!つむぎ、駄目じゃないか。一人で勝手にいなくなっちゃ!!」
たくと!良かったあ・・・。
「ねえたくと、僕の横にいる女の子は友人?」
着物の少女の事を尋ねるかのように指すと、たくとは誰の事かわからない様子だった。
「はあ?何言ってんの?どう考えても誰もいないだろ?」
誰もいない!?
嘘・・・・・・!?
じゃあ僕は誰と話してんの!?
まさか本当に着物の少女は幽霊なの!?
さっきまで僕は見えていた着物の少女を幻じゃないか目を擦ってもう一回睨んだが、やっぱり見える・・・。
「ああ、どうやら君以外の人には見えないようだね。僕は座敷童のあおい。みんなが勘違いして僕のこと女の子とか言うけどこう見えて男の子なんだ。」
本物の・・・座敷童・・・。しかも男の子・・・。そして妖怪・・・
バタン!!
僕は目を見開いたまま気絶した。たくともあおいって子も慌てふためいた。
気絶して15分後、目が覚めた時にはあおいとたくとの姿が見えて古い屋敷の縁側で寝ていた。