学校の放課後のチャイムがなると僕はあの古くてボロボロの屋敷に急ごうとした。あおいに会うためだ。
「つむぎくん!一緒に帰ろう!」
同級生でロングヘアの女の子まやが僕と一緒に帰ろうと誘ってくれた。
「ごめん、僕に会いたい人がいるんだ!じゃあね!」
と別れを告げてあおいの所に急いだ。
まやは残念がって頬を膨らませた。でも別に彼女とは何の関係もないクラスメイトだ。
あおいが住む屋敷への道は何度も行ったからもう覚えている。
屋敷に着いたらあおいが待ちぼうけてた。
「やあ・・・、また来たんだね。つむぎくん」
「君といるのがずっと楽しくて毎日あおいの家に来たいんだ。」
あおいといるのは本当に楽しい。最初は正体が妖怪と聞いて怖かったけど、優しい妖怪も居るんだというのがわかって座敷童のあおいとは仲良くしたいと思った。
「今日はお友達を連れてきたの?」
えっ?友達?何の意味か分からず後ろを振り向いて確認した。草むらからまやの姿が見えた。まさか僕を追ってきたのか?
「つむぎくん!駄目じゃない!ちゃんとお家に帰らないと!・・・それにこの子誰?」
「えっ?まさかまや見えるの?」
「見えるも何も、こんな幼稚園ぐらいの女の子と遊んでるなんて・・・嫉妬するんだけど・・・・・・もごもご。」
まやは口ごもった状態でモヤモヤしていた。でも見えるってことは僕とあおいの秘密が知れ渡ったらどうしよう・・・。
「安心して、本来僕の姿は普通の人には見えないけど心が綺麗な人には見えるんだよ。」
そうか・・・、心が綺麗な人には見えるのか。・・・でも義理の兄のたくとは見えなかったのは心が綺麗じゃなかったのかと疑問に思ったけど流石に口にしてはいけないだろうと心に秘めておくことにした。
でも僕よりも疑問に思ったまやは混乱していた。
「ねえ・・・、さっきからどういうこと?見える見えないの話じゃよくわからないんだけど。」
僕はこれまでの経緯を語った。あおいが座敷童だって事については驚かせちゃったけど特に怖がる事はなくて話が盛り上がった。
しかも僕が初めて出会った頃に妖怪だと怖がってた事もあおいは語った。
当然、まやはその話を聞いて笑っていた。
「アッハッハッハ!!座敷童と聞いて白目向いて気絶してたって、つむぎくんって意外とお子ちゃまな所あるよね!あーっはっはっは!!」
僕があおいを怖がってたことにツボが入ったせいかまやは爆笑してた。
恥ずかしかったが今更否定できない。僕は顔を赤らめながら下を向いた。
「恥ずかしがることないじゃない。僕の他に友達ができたんだから。」
あおいは僕の辱めを抑えるように諭す。
「でも今更こいつとは・・・。」
「何よ、あたしとは友達じゃないって?」
「そういう事じゃ・・・。」
僕が否定的な事を言ったらまやは笑った顔を直ぐに抑えて顔をずいっと近寄せて怒ってきた。
「言っとくけどね、私はつむぎくんが転校初日からずっと暗い顔してて他の友達と遊ばないのずっと心配してたんだからね!今更そんな寂しいこと言わせないからね・・・!」
まやは目に涙を浮かべた。本当に心配してくれたんだ・・・。悪いことしちゃったなあ。
僕が反省するとあおいも僕の心配するように口を開いた。
「そこでなんだけど、つむぎくん。もう・・・僕と友達を辞めてまやとか色んな人たちと友達になってほしい。」
その言葉で僕は顔を引きつるように青ざめた。