あおいの屋敷に着いたとたんに誰かが待ち伏せしてた。そこにはたくとの姿が見えた。
「よう、待ってたぜ。」
「たくと!?どうしてここに!?」
おかしい・・・、この場所へ来ることはたくとには伝えてないはずだ。
「さっき図書室で偶然聞いたぜ。やっぱり座敷童がいるんだな・・・。」
「だったら何をする気だ。僕たちを利用して呼ぶというのか。」
「そうだ・・・、俺の願いは誰よりも幸せになることだ。なのに最近家族は義弟のつむぎにばっかり注げられている。」
たくとの言葉は引っ越し当初あおいの屋敷に行ったとき、僕が座敷童を見えてないと嘘を付いた時にたくとが叶えたがっていた願いだ。
「なあ、あの時なんで嘘を付いたんだよ。なんで俺の親に引き取られたつむぎやそこの女子だけが見えるんだよ。なぜなんだよ!?」
そこの女子とはおそらく今、僕の隣にいるまやの事を指してるんだろう。
たくとは嫉妬と怒りで僕たちを問い詰めてゆく。
もう今のたくとは躍起になっている。
「あの時見えなかった事の嘘で怒ってるなら謝る。でも僕にだってその座敷童が姿を見せたくないと念押しされて嘘を付いたんだ。」
「うるせえ!」
たくとは怒り狂った表情で僕の胸倉を掴んだ。
「なんでお前だけが成績いいんだ!なんでお前は座敷童が見えるんだ!この野郎!!」
横にいたまやがたくとの手首を抑えるように掴んだ。
「離れてよ!あなたつむぎくんのお兄さんなんでしょ!?なんで弟をいじめるような真似をするの!?」
「黙れ!というかお前も見えているんだよな・・・だったらお前も同罪だ!!」
たくとがまやを掴もうとしたが、瞬時に僕は体ごと捻らせてたくとと共に倒れた。
たくとは手首を抑えるように痛がっている。
「あんたは間違っている!幸せになりたいからと言って他人の幸せを壊していいはずがない!!自分の今満足できていない環境を他人のせいにするな!」
「貴様!!」
やばい、殴られる!!このままじゃ僕が殴られる!!
と次の瞬間にこの世のものとは思えない程の不気味な風が吹いてたくとを動かなくした。
「ヒイ!?何なんだ!?」
たくとは訳も分からずに動かなくなったため焦っていた。
風が吹いてる目の前に、あおいがいた。
静かな怒りを妖力に変えてたくとの体の自由を奪っていた。